2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of high-performance thin film solar cells by controlling crystal defect cores in silicide semiconductor
Publicly Offered Research
Project Area | New Materials Science on Nanoscale Structures and Functions of Crystal Defect Cores |
Project/Area Number |
20H05187
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒川 康良 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00588527)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シリサイド半導体 / 結晶欠陥 / 粒界 / キャリア先生 / 太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
BaSi2粒を用いた真空蒸着では蒸気組成の経時変化がわかっており,Baリッチな蒸気が蒸着初期に生成する.Baリッチな蒸気はBaリッチな薄膜を形成し,酸化しやすく,膜質の劣化につながる.このようなことから,1段階での蒸着には良質な薄膜を得るのに限界があった.そこで,今回は通常の1段階製膜に加え,蒸着初期時のBaリッチ蒸気を意図的に抑制する2段階製膜を行い,膜質のコントロールを試みた.作製した試料の膜質の評価をRaman散乱スペクトルやDeep-level transient spectroscopy(DLTS)により行った.最終的には結晶シリコンとのヘテロ接合型太陽電池を作製し,性能の比較を行った. n型結晶シリコン基板(111)上にプラズマCVD法によりBドープアモルファスシリコン薄膜を10nm堆積した.その試料を蒸着器にセットし,BaSi2の蒸着を基板温度600℃にて行った.1段階製膜では,シャッターを開放してから50秒間,電流値を140Aにキープして蒸着を行った.2段階製膜ではシャッター開放後,90Aで20秒間,140Aで40秒間電流が維持し,蒸着を行った.Raman散乱スペクトルの結果,どちらの試料もBaSi2由来のピークが確認でき,どちらの方法でもBaSi2薄膜が形成していることが確認できた.DLTS測定の結果,欠陥密度はどちらも1×10^13 cm-3程度であることがわかった.最終的にヘテロ接合型太陽電池構造を作製したところ,開放電圧が1段階製膜で319mV,2段階製膜で463mVとなり,2段階製膜を行うことで変換効率を大幅に向上させることに成功した.開放電圧向上の原因は界面付近の欠陥濃度の減少が考えられるが,差異を示す結果は得られていないため、さらなる測定が必要である.2段階製膜法がBaSi2薄膜を用いた太陽電池の変換効率向上に寄与する知見を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は良質なBaSi2薄膜の作製方法として,2段階製膜法を開発し,BaSi2薄膜を用いた太陽電池の変換効率向上に寄与する知見を得ることができた.この理由を探るため,BaSi2薄膜の欠陥評価としてDLTS測定を行った.膜質向上の理由を明らかにするにはさらなる測定は必要ではあるが,研究計画としては順調に推移している.
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Strategy for Future Research Activity |
【1. 点欠陥および粒界評価】 電子スピン共鳴(ESR)測定により,欠陥濃度の評価をする.また,Deep-level transient spectroscopy (DLTS)測定により点欠陥などのギャップ内準位を評価する.第一原理計算で得られる結果と合わせることで,点欠陥や格子間原子などの欠陥の種類の同定を行う.また,粒界も太陽電池性能に影響を与える可能性があるため,ナノスケールでの粒界の電気的特性の調査を走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて行う.粒界周辺のポテンシャル分布などをケルビンプローブ顕微鏡法にて評価することで,粒界が光生成キャリアに対して,どのような影響を与えるか知見を得る. 【2.BaSi2 ホモ接合太陽電池の作製と評価】 これまでに得られた機能コアの生成メカニズムに関する知見を利用し,機能コア濃度を制御し,p型領域およびn型領域で所望のキャリア濃度が得られる製膜条件を探索する.条件が得られた後,p型BaSi2/n型BaSi2ホモ接合構造を作製する.製膜条件を調整して,pn接合を作製する場合には,蒸着中に製膜条件を変化させ,欠陥の種類をp型領域とn型領域で調整することによってpn接合を一度に作製する.電流量の調整だけで難しい場合には,あらかじめn型BaSi2薄膜をSi基板上に作製しておき,表面の熱処理により,表面のみの欠陥量を制御することにより,表面にp型半導体を形成し,pn接合とする.pn接合形成後,p層上に透明導電膜を作製し,最後に金属電極を表と裏に形成する.作製した太陽電池構造を擬似太陽光照射装置(ソーラーシミュレータ)を用いて,太陽電池の変換効率を求める.分光感度測定などにより,現状の太陽電池の問題を明らかにする.半導体デバイスシミュレータを併用し,フィードバックをかけ,効率向上を進める.
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Research Products
(9 results)