2020 Fiscal Year Annual Research Report
IV族混晶結晶粒界で生じる特異なキャリア・フォノン散乱の機構解明と制御
Publicly Offered Research
Project Area | New Materials Science on Nanoscale Structures and Functions of Crystal Defect Cores |
Project/Area Number |
20H05188
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒澤 昌志 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (40715439)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | IV族混晶 / ゲルマニウムスズ / 結晶粒界 / 散乱機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究における機能コアとは、「格子振動(フォノン)のみ散乱する結晶粒界」と定義している。本公募研究においては、最近申請者が見出した「 ゲルマニウムスズ(Ge1-xSn)薄膜中のフォノンのみ散乱する結晶粒界」に対して、正孔が結晶粒界で散乱されにくい理由、フォノン散乱に有効な粒界構造、電子に対する結晶粒界の影響の3点を明らかにすることを目的としている。本年度得られた成果を以下に示す。 (1) 結晶粒界の正孔に対するポテンシャル障壁高さを電気的に計測した結果、10 meV未満であることが明らかになった。Geのバンドギャップ(0.66 eV)に比べ極めて小さいことから、電界で加速された(運動エネルギーが大きな)正孔にとっては、粒界のポテンシャル障壁はほとんど感じずに移動しているものと推測される。 (2) n型Ge1-xSnx(x=0.02)薄膜の電子物性評価を行った結果、Hall電子移動度は結晶サイズ(面内相関距離)に依存すること、面内相関距離が100 nm程度まで大きくなるとバルク並みのHall電子移動度が得られることが判明した。これらは、(1)で述べた正孔の場合とは異なる傾向である。結晶粒界のポテンシャル障壁高さはp型とn型薄膜でそれほど大差がないことから、結晶粒内の散乱に違いがあるものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、さまざまな結晶サイズのp型およびn型ゲルマニウムスズ薄膜のエピタキシャル成長に成功し、正孔が結晶粒界で散乱されにくい理由、電子に対する結晶粒界の影響を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに明らかとなった内容を総合報告として纏め上げる。また、本年度は室温での物性評価がメインであったが、低温物性評価にも展開する予定である。
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