2020 Fiscal Year Annual Research Report
The machine learning model of the electron energy-loss spectroscopy for the analysis of crystal defect core
Publicly Offered Research
Project Area | New Materials Science on Nanoscale Structures and Functions of Crystal Defect Cores |
Project/Area Number |
20H05192
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
池野 豪一 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30584833)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 機械学習 / 計算材料科学 / 電子分光 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
走査型透過型電子顕微鏡(STEM)を用いた電子線エネルギー損失分光(EELS)を用いることにより、機能コア(物質の特性を支配する局所原子配列・電子状態)を直接観測することが可能となる。一方で、測定で得られる多数のスペクトルに対して第一原理計算に基づく理論指紋照合法を適用するには膨大な時間を要する。本研究では情報科学的手法を用いてEELSスペクトルから物質の機能コアを解明するための理論的手法を確立することを目的とする。 2020年度は、機械学習に利用するための第一原理計算による理論スペクトルデータの収集を行った。特に強い電子相関に起因する微細構造が現れる3d遷移金属L2,3端EELSを対象として第一原理計算を進めるとともに、電子状態データベースMaterials Project からも一電子近似に基づく理論スペクトルを収集した。 得られた理論スペクトルデータベースをもとに、局所原子構造→EELS スペクトル予測モデルの構築、およびEELS スペクトル→局所原子配列・電子状態予測モデルの構築をこころみた。前者については、深層学習を用いて、スペクトルの概形を85%の確率で予測可能な機械学習モデルの作成に成功した。説明変数には系の原子配列から容易に計算が可能な化学組成や動径分布関数、また隣接原子の電子配置や構造の異方性を反映した Orbital fixed matrix (OFM) を用いた。 また、スペクトル→局所原子配列を予測するモデルとして、スペクトル形状から動径分布関数を予測するモデルの構築も進めている。現時点では、モデルの精度が十分ではない。予測対象とする局所構造を表現する変数の組み合わせを最適化する必要があると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度を通してEELSの理論スペクトルの収集は継続的に進めており、データベースの充実を図っている。得られたスペクトルデータベースを元に機械学習モデルの作成・改善を進めてきた結果、原子構造からスペクトル形状の予測については高精度なモデルを作成することに成功した。モデルの解釈を試みたところ、予測精度に最も影響を与える説明変数は動径分布関数、OFMであることが分かった。これらの変数は励起中心となる原子周辺の配位数と結合距離、配位子の種類や異方性を反映したものである。物理的にEELSスペクトルが励起原子周辺の局所構造を反映することが知られているが、今回の結果はその用な物理的解釈と合致するような説明変数を用いることでスペクトル形状を高精度に予測できることを示唆している。この方法を適用することでスペクトルの理論計算に要する時間を大幅に短縮することが可能となり、多数のスペクトルの解析に適用することができる。 また、スペクトル形状から機能コアを直接予測するモデルについては、現時点では予測精度に難があるものの、予測対象とする局所構造を表す変数の組み合わせによって、予測精度は向上できるという手応えは得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
局所構造からEELSスペクトルを直接予測する手法については、十分な学習データがあれば高精度の予測ができる機械学習モデルが作成できることを示し、一定の成果を得たと考える。今後はスペクトルから機能コアの情報を抽出するための機械学習モデルの作成を中心に研究を進める。まず、予測対象とする局所原子構造を反映した最適な変数セットの検討を行う必要がる。動径分布関数の他に、OFMなどの異方性を反映する変数を組み合わせて、それらを予測する機械学習モデルを作成する。これらの研究を通して、機能コアを形成する原子配列や電子状態を自動的に特定する解析エンジンの開発を目指す。
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[Journal Article] Metamagnetic Behavior in a Quadruple Perovskite Oxide2021
Author(s)
Y. Okazaki, Y. Kato, Y. Kizawa, S. Oda, K. Uemura, T. Nishino, F. Fujii, S. Fujinari, M. Kinoshita, T. Odake, H. Togano, T. Kamegawa, S. Kawaguchi, H. Yamamoto, H. Ikeno, S. Yagi, K. Wada, K-H. Ahn, A. Hariki, and I. Yamada
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Journal Title
Inorganic Chemistry
Volume: 60
Pages: 7023-7030
DOI
Peer Reviewed
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