2020 Fiscal Year Annual Research Report
ブロック共重合体等を用いた高分子孤立鎖の高湿度下での運動制御
Publicly Offered Research
Project Area | Aquatic Functional Materials: Creation of New Materials Science for Environment-Friendly and Active Functions |
Project/Area Number |
20H05201
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
熊木 治郎 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (00500290)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高分子構造・物性 / 原子間力顕微鏡 / 高分子孤立鎖 / ブロック共重合体 / 分子運動 / 高湿度 |
Outline of Annual Research Achievements |
恒温恒湿エアー発生装置を用いて、90%RHまでの広い湿度範囲で高分子孤立鎖運動の原子間力顕微鏡(AFM)測定が可能になっている。令和2年度は、疎水性の高分子及びそれらからなるジブロック共重合体孤立鎖のマイカ上での運動挙動を高湿度下で検討した。主として検討したのは、poly(methyl methacrylate)(PMMA, ガラス転移温度(Tg)105℃)、poly(n-butyl acrylate)(PBA, Tg=-54℃)、及びそのブロック共重合体(PMMA-b-PBA)であり、クロロホルム溶液からマイカ上にスピンキャストした孤立鎖を高湿度下で観察した。 湿度を60~90%まで変化させて観察した結果、PMMA鎖の運動は湿度の上昇とともに活発になり、90%では一部の分子鎖が並進運動を示した。それに対して、PBA鎖の運動性は低く、湿度90%でもほとんど運動性を示さない。PMMA(Tg=105℃)に比べてPBA(-54℃)のTgは大幅に低いが、運動性は逆の結果を示しており、モノマー当たりの親水性のエステル基含量が大きく、より親水性の高いPMMAの方が高い運動性を示したものと思われる。ブロック共重合体を観察したところ、高さの異なる両ブロック鎖を明確に識別可能であり、湿度90%では、PBAブロック鎖がほぼ運動性を示さないのに対して、PMMAブロック鎖は活発な運動性を示した。但し、PBAの運動性が低く分子がマイカに固定化されているため、ブロック共重合体の特徴が最も現れると考えられる分子の並進運動を観察するには至らなかった。今後は、より高い運動性が期待される親水性ポリマーについて検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疎水性のPMMA,PBA、さらにそれからなるブロック共重合体について高湿度(60~90%)の運動性を評価し、挙動を明らかにした。並進運動の観察には至らなかったので、より高い運動性が期待される、親水性ポリマーの系に検討を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、親水性の高い高分子(poly(acrylic acid)、poly(n-isopropyl acrylamide)(PNIPAM), poly(2-hydroxyethyl methacrylate)(PHEMA)等)を取り上げ、その高湿度下での運動挙動を検討する。運動挙動に挙動に明確な差異が認められる系について、ブロック共重合体の運動挙動についても検討を進める。 また、PNIPAMは、高温で分子鎖が凝集するLCST型の転移が認められる系であり、分子鎖転移の直接観察についても検討を進めたいと考えている。
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Remarks |
出前授業(Online)(参加者:25名)、於:宮城県立泉館山高等学校, 2020年10月3日.
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