2020 Fiscal Year Annual Research Report
Construc on of Higher Order Structures Integrated by Precisely Arranged Hydroxy Groups in a 3D Manner
Publicly Offered Research
Project Area | Aquatic Functional Materials: Creation of New Materials Science for Environment-Friendly and Active Functions |
Project/Area Number |
20H05218
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋川 祥史 京都大学, 化学研究所, 助教 (80804343)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フラーレン / 水分子 / 水素結合 / NMR / リチウムイオン |
Outline of Annual Research Achievements |
水酸化開口フラーレン誘導体に対するカチオン認識能について検討した.溶液NMR滴定の結果,水酸化開口フラーレン誘導体は,リチウムイオンに対してサンドウィッチ構造をとるように両側から挟みこんだ配位様式により,会合することがわかった.また,リチウムイオンだけでなく,他のアルカリ金属に対しても同様の錯形成が起こることが,マススペクトル測定により明らかとなった.理論計算の結果,リチウムイオンの配位により,フラーレン骨格内部の静電ポテンシャルは中性からカチオン性へと顕著に変化することが示唆された.そこで,内包水分子の動的挙動に与える影響について検証した.1H NMR測定の結果,非会合体,1:1会合体,1:2会合体の3種類がNMRのタイムスケールにおいて区別可能であり,リチウムイオンへの配位により,水分子の回転の活性化エネルギーが上昇することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では,フラーレンを用いることにより,①特殊環境下における水分子の特異な性質の解明および②π-π相互作用や水素結合相互作用を利用した超分子組織化を目指し,曲面π共役系を取り巻く水圏の機能を開拓することを目指している. 初年度では,水酸化開口フラーレンを用いることにより,溶液中においてリチウムイオンに対する会合能を検討し,カチオン性サブナノ空間という特殊環境に取り込まれた単一水分子の動的挙動について明らかにすることで,本研究課題で目指す水圏物理現象の解明につながった.
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Strategy for Future Research Activity |
領域内の共同研究により,開口フラーレン誘導体を用いた超分子組織化ならびに分子内包能と連動させた刺激応答性材料の創製を目指す. また,さまざまな水分子クラスターのフラーレン内部への導入を検討し,その性質を計測・シミュレーション班との領域内共同研究内により明らかにする.
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