2020 Fiscal Year Annual Research Report
Relationship between the Hydration Behaviors and the Functions in Dendrimers with Blood Circulation Property or Thermosensitivity
Publicly Offered Research
Project Area | Aquatic Functional Materials: Creation of New Materials Science for Environment-Friendly and Active Functions |
Project/Area Number |
20H05232
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
児島 千恵 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50405346)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 水和 / ドラッグデリバリー / デンドリマー / 温度応答性 / ポリエチレングリコール |
Outline of Annual Research Achievements |
DDSのナノキャリアは、水中で、標的以外の細胞とは相互作用せず、標的細胞とは相互作用するという、相反する機能を兼ね備えることが求められる。申請者は血中滞留性を示すポリエチレングリコール(PEG)修飾デンドリマーと加温によって細胞との相互作用を変化することができる温度応答性デンドリマーを合成し、DDS材料として利用してきた。近年、水和状態と細胞との相互作用との関連が明らかになりつつある。そこで、本研究では、PEG修飾デンドリマーと温度応答性デンドリマーをDDSナノキャリアのモデルとして用い、これらの水和挙動とそれぞれの機能との相関について明らかにすることを目指す。 PEG修飾デンドリマーについて、今年度は、PEG修飾デンドリマーを合成し、様々な含水率で示査走査熱量測定(DSC測定)や赤外分光測定を行い、水和挙動を調べた。また、蛍光ラベルしたPEG修飾デンドリマーを合成して、マウスに投与し、その体内動態と水和状態との相関について検討した。デンドリマーの全末端にPEGを修飾したデンドリマーでは、PEGと同様の水和状態を示し、高い血中滞留性を示したが、末端のごく一部のみにPEGを修飾したデンドリマーではPEGとは異なる水和状態を示し、血中滞留性も低かった。以上より、水和状態と体内動態が相関する可能性が示唆された。 一方、温度応答性デンドリマーの水和状態を解析するにあたり、まず典型的な温度応答性高分子として知られているポリN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)の水和状態をDSCおよび赤外分光測定によって解析した。その結果、中間水に分類される水は、PNIPAMのアミド基に水和した水分子に水素結合した二次水和水であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウィルスの感染拡大によって研究活動が軽減されたため、繰り越しを行ったが、予定していた研究内容を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
PEG修飾デンドリマーおよび温度応答性デンドリマーの水和挙動とそれぞれの機能との相関について、明らかにすることを目指す。 1)PEG修飾デンドリマーに関する研究について PEG鎖長、PEG結合数、デンドリマー世代数が異なる様々なPEG修飾デンドリマーを合成し、これらの粒径や表面電荷を動的光散乱法(DLS)で調べる。また、比較として既報告にしたがってPEGリポソームを作製する。上記で作製したPEG修飾ナノキャリアについて、様々な含水率で示査走査熱量測定(DSC測定)を行い、水和挙動について比較する。また、XRD測定や赤外分光法によって水の結晶状態や中間水の状態について詳細な解析を行う。 2)温度応答性デンドリマーに関する研究について 温度応答性デンドリマーには加温によって白濁するLCST型、冷却によって白濁するUCST型など様々な種類がある。様々な末端構造をもつデンドリマーを合成し、水和状態と機能との相関を得る。さらに、新たな機能・用途の開拓を行う。
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