2020 Fiscal Year Annual Research Report
準結晶系における高次高調波発生と光誘起ダイナミクスの理論研究
Publicly Offered Research
Project Area | Hypermaterials: Inovation of materials scinece in hyper space |
Project/Area Number |
20H05265
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 雄太 東京工業大学, 理学院, 助教 (70845289)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 準結晶 / 光学応答 / 励起子絶縁相 |
Outline of Annual Research Achievements |
準結晶の特異な空間構造を反映する秩序相・動的現象に関する研究を理論的行った。特に、i)ペンローズ格子上の励起子秩序の出現、および ii)ペンローズ格子上の励起子秩序の光誘起ダイナミクスに関する研究を行った。 i)では、ペンローズ格子上の2バンドHubbard模型を考え、実空間平均場理論を用いて相図を記述した。特に、Vertex模型とCenter模型と呼ばれる二種類の模型に注目した。その結果、これらの模型の持つ特異な状態密度を反映した励起子絶縁相の存在を明らかにした。また、補空間空間解析を用いて、励起子絶縁相の秩序パラメータ・電荷密度の分布の性質も明らかにした。特に、BCSとBEC側では、定性的に分布が異なることを示した。 ii)では、ペンローズ格子上の励起子秩序を光励起すると、空間平均だけ見るのであればBCSとBEC領域において通常の結晶と同様の振る舞いが見られることが明らかになった。通常結晶をもちいた先行研究ではBCSとBEC領域のダイナミクスの違いを波数空間で議論していたが、今回の結果は波数空間を超えた理由があることを意味している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非平衡問題を考える上での出発点における秩序相の振る舞いが明らかになった。また、非平衡問題に関しても、効率の良い非平衡シミュレーション手法の実装法を見出しており、非平衡の振る舞いもだいたいわかってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
ペンローズ格子上の励起子絶縁体の非平衡ダイナミクスに関して少しずつ概要がわかってきたので、今後はより系統的なシミュレーションを行い準周期系特有の現象について調べていく予定である。また、補空間解析などを行い、準周期系の非平衡ダイナミクスの解析法についても理解を深めたい。 また、フィボナッチ格子上の強束縛模型の光応答の研究も行う予定である。この模型は、状態密度に自己相似性を有しており、これらの特異な性質が光応答にどのような影響を及ぼすかは興味深い問題である。久保公式と数値計算を用いて、具体的に光学伝導度を評価することで準周期特有の性質を見出したい。
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