2020 Fiscal Year Annual Research Report
Growth and structural analysis of metal oxide-based quasicrystal thin films
Publicly Offered Research
Project Area | Hypermaterials: Inovation of materials scinece in hyper space |
Project/Area Number |
20H05267
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柚原 淳司 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10273294)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 酸化物準結晶 / 超薄膜 / 結晶成長 / 構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、セラミックス準結晶であるBa-Ti-O準結晶薄膜を創製し、組成と原子密度を低速電子回折、オージェ電子分光、X線光電子分光(XPS)、走査型トンネル顕微鏡、ラザフォード後方散乱法(RBS)からなる複合解析により解明した。 具体的な研究計画・方法を以下に述べる。 Pt(111)表面上に室温、酸素雰囲気下にてチタン酸バリウムを数nm程度、パルスレーザー堆積装置で蒸着しこの試料を再び試料準備超高真空チェンバーに導入し、真空加熱を行うことで準結晶や近似結晶を創製することができた。組成と原子密度の同定のため、組成が既知の標準試料BaTiO3薄膜を用いて、XPS法とRBS法の検量線(標準曲線)を作成した。作製した3次元島のない準結晶、近似結晶、周期結晶について、XPSスペクトルをバリウム、チタン、酸素の各成分について測定し、表面原子密度を求め、表面組成を決定した。さらに、Pt(111)表面上にBa-O系超薄膜を種々の組成で作製し、そこへチタンを蒸着することで、広い組成範囲にわたり、準結晶及び近似結晶の形成の有無やこれまでに発見されていない相の有無について系統的に調べた。 構造モデルの提案に向けて、一連の実験データを検証中である。 コロナ禍ではあるが、外部研究者を6週間受け入れ、共同研究も開始し順調に研究が進んでいる。学術論文として1報発表し、また、日本物理学会のシンポジウム講演も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的であるBa-Ti-O系準結晶薄膜の組成と構造の関係をRBSとXPSの複合手法により、明らかにすることができた。さらに、Ba-O系超薄膜を種々の組成で作製し、そこへチタンを蒸着することで、広い組成範囲にわたり、準結晶及び近似結晶の形成の有無やこれまでに発見されていない相の有無について系統的に調べた。構造モデルの提案に向けて、一連の実験データを検証中である。また、コロナ禍ではあるが、外部研究者を6週間受け入れ、共同研究も開始し順調に研究が進んでいる。学術論文として1報発表し、さらに、現在もう1報投稿中である。また、日本物理学会のシンポジウム公講演も行った。以上より、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、新たな酸化物準結晶及び近似結晶薄膜を創製し、その原子配列やタイリングパターン、さらには、組成と原子密度をLEED-AES-XPS-STM-RBS法を用いた複合解析により解明する。具体的には、これまでのランタノイド系酸化物準結晶の創製を目指す。目的とする表面超構造(準結晶、近似結晶、周期結晶)が得られるまで、真空加熱、チタン蒸着、酸素雰囲気加熱を繰り返す。広域STM像にて3次元島が観察される場合には、適宜、アルゴンイオンスパッタリングも行う。組成と原子密度の定量的な解明のため、組成が既知の標準試料を用いて、XPS法とRBS法の検量線を作成する。作製した3次元島のない準結晶、近似結晶、周期結晶について、XPSスペクトルをセリウム、チタン、酸素の各成分について測定し、検量線から表面原子密度を求め、表面組成を決定する。
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Research Products
(4 results)