2020 Fiscal Year Annual Research Report
薄膜合成法による蓄電固体界面モデルの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Science on Interfacial Ion Dynamics for Solid State Ionics Devices |
Project/Area Number |
20H05286
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 耕太 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (40708492)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エピタキシャル薄膜 / 全固体電池 / 固体界面 / イオン導電体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,A01班として固体電池内の界面構造と反応メカニズム解析に適した蓄電固体界面モデルを構築し,A02班,A03班と連携することで,その詳細を明らかにすることが目的である.具体的には,A) 結晶電極/非晶質電解質モデル界面の構築, B) 結晶電極/結晶電解質モデル界面の構築, C) 固固界面の反応解析試料の提供,を達成する. 2020年度は,研究代表者がこれまでに合成してきたエピタキシャルモデル電極と,酸化物系の非晶質電解質(Li3PO4)を組み合わせた,界面モデルの多様性拡大と,実験の再現性向上を目指した.具体的には,単結晶基板の方位と組成,製膜サイズ規定用のマスク形状,集電体材料の組成や膜厚などについて検討を行った.酸化物系の薄膜電極はパルスレーザー堆積法で合成し,エピタキシャル電極としては104-Li(Ni,Co,Mn)O2,111-Li4Ti5O12, 001-Li2RuO3, 001-Li2MnO3, 001-TiO2膜などが固体電池用の電極として合成可能となった.これらモデル電極の膜厚は10~50 nm程度であり,その上に非晶質電解質をRFマグネトロンスパッタリング法で合成し,真空蒸着法でLi金属を堆積させ,固体電池として完成させた.定電流充放電試験により,各種薄膜電池の充放電特性を評価し,解析用のモデル系として活用可能であることを確認した.また,硫化物系の非晶質電解質(Li3PS4)を固体電解質として用いたモデル系も,104-Li(Ni,Co,Mn)O2電極との組み合わせにおいて構築が可能な状況となっている.一方で,ヘテロエピタキシャル界面の構築も並行して行い,スピネル電極上にペロブスカイト型固体電解質を10-30 nm程度堆積させたヘテロ界面モデル系を構築した.この上にLi3PO4電解質,Li金属の順に積層させ,固体電池として動作することが確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の達成目標である三項目について成果が上がっている. A)結晶電極/非晶質電解質モデル界面については,酸化物系,硫化物系について多様なモデル界面が構築できている. B)結晶電極/結晶電解質モデル界面については,限られた組み合わせであるが,ヘテロエピタキシャル成長可能な条件を見いだした. C)固固界面の反応解析試料の提供は,領域内連携として標準試料の仕様が定まり,提供開始の準備が進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
A)結晶電極/非晶質電解質モデル界面については,モデルを絞りこみ,合成,電池特性評価,解析を進める. B)結晶電極/結晶電解質モデル界面については,より多くのヘテロ界面モデル系構築に取り組む. C)固固界面の反応解析試料の提供は,領域内連携定まった標準試料の仕様に沿った形で,合成,評価,提供を行い,領域全体の研究推進へと貢献する.
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