2020 Fiscal Year Annual Research Report
Reversible crystal transformation by dynamically controlling ions due to an electric field and development of iontronic functionality
Publicly Offered Research
Project Area | Science on Interfacial Ion Dynamics for Solid State Ionics Devices |
Project/Area Number |
20H05296
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神吉 輝夫 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (40448014)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イオントロニクス / 酸化物エレクトロニクス / 強相関電子系酸化物 / 多値メモリ / プロトン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ゲート電圧の侵入電場によりプロトン拡散方向を制御し低抵抗VO2 ⇔ 高抵抗HVO2の構造相転移を通してOn/Offするスイッチ、及び多値メモリが可能な双機能トランジスタの動作原理を解明するとともに、巨大抵抗変調を通じてイオン-電子相関の新機能物性を開拓することにある。アナログメモリの特徴を活かした低消費電力ニューロモルフィックチップ素子としての利用が期待できる。また、学術面では、H2+Air雰囲気下でのゲート電界印可による連続的なチャネル界面のケミカルポテンシャル変調は、新物質形成を探る手段でもあり、新たな水素化合物の探索場として活用する。界面イオン‐電子相関メカニズムを解明し、蓄電固体界面の学理構築の一助を担う。 (1)水素化したHVO2に対してイオン制御によるトランジスタでは最高速の100Hzでのスイッチング動作を確認した。 (2)共同研究において、加速器を用いたXAFS測定によりVO2のV4+からプロトンを挿入することでV3+に価数が変化していることが示唆された。これは、プロトンが酸素イオンと結合し-OH基を形成していると思われる。さらにプロトン挿入によるV4+からV3+への価数変化は、通常のキャリア濃度変調気比べ、強相関電子系酸化物の特徴である電子相関がもたらす巨大抵抗変調に繋がっていることが示唆される結果を得た。 (3)また、異なる共同研究先において、加速器を用いたERD測定においてVO2にプロトンが挿入されていることが直接確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロトンを用いたトランジスタの高速化において、着実に進展しておりデバイス形状やナノトランジスタ作製により、より高速化が期待できる結果を得た。また、共同研究も着実に進めており、電子伝導により大きく抵抗変化するメカニズム、つまり電子-プロトン相関を測定する実験方法をほぼ確立したため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度で得た、100Hzでの低抵抗-高抵抗スイッチングをナノ構造形状のトランジスタを作製し、更なる高速化を目指す。また、本研究での多値メモリ化の要因は、HVO2構造、及びVO2構造が程よく安定化していることであり、ゲート電界によりこの双安定ポテンシャルを制御することにある。そのため、常誘電体ゲートによりメモリ化する全く新たな不揮発性多値メモリの原理であり、低消費電力動作が見込める。従来よりも遥かに低い電力で多値メモリ化を行うとともに、昨年度得た実験手法により、プロトン挿入によって引き起こされる電子-イオン相関関係の解明を進めるとともに、実用化に向けた新規デバイス構築への礎を築く。
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Research Products
(3 results)