2020 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学的に生成する電極と固体電解質の間の界面抵抗に関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Science on Interfacial Ion Dynamics for Solid State Ionics Devices |
Project/Area Number |
20H05297
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
猪石 篤 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (10713448)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 全固体電池 / ナシコン / 水素化物負極 |
Outline of Annual Research Achievements |
固体電解質と電極の間の界面抵抗に関する研究を行った。酸化物系全固体電池では、電極と電解質の機能を有する材料を用いて単一材料で電池を構築できる系を検討した。Li1.5Cr0.5Ti1.5(PO4)3(LCTP)は高いリチウムイオン伝導性を示すとともに正極及び負極としての機能を有し、焼結体の両面に集電体をとりつけるだけで高速で充放電が進行した。単一材料による全固体電池は、作製時に副反応が起こらないため低抵抗な界面となる。しかし、充電が十分に電池内部まで進行しないという課題がある。そこで、充電状態の両極の反応分布をX線吸収分光で確認したところ、中心部でより進行しているのに対し、外側では充電深度の浅い状況が確認された。 一方、Na3V2(PO4)3(NVP)も同様に単一材料で全固体電池となる材料である。この材料は焼結密度が低いという課題があったため、Na3BO3を添加して密度を上げることで電池特性が向上することが分かった。NVPについても電極反応分布を確認するためにSEM-EDSを用いて充電状態の負極表面のNa量を確認したところ、中心部付近でより反応が進行し、外縁部は反応が十分に進行していないことが分かった。 さらに、水素化物系負極材料(Mg(BH4)2)について、放電でリチウムイオンを反応させることでリチウムイオン伝導性を有するLiBH4が生成し、これが「その場形成固体電解質」として機能することで電極合材中に電解質を必要としないことが明らかとなった。このことにより、全固体電池のエネルギー密度が大幅に向上できる可能性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り酸化物系全固体電池の反応分布に関する知見が得られている。また、新たに水素化物系負極を使った「固体電解質のその場形成」を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、水素化物系負極を使った「固体電解質のその場形成」に関して、充放電の生成物の生成及び消失、形態観察を行う。
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