2020 Fiscal Year Annual Research Report
イオン界面を基盤とした新奇デバイスの創生
Publicly Offered Research
Project Area | Science on Interfacial Ion Dynamics for Solid State Ionics Devices |
Project/Area Number |
20H05304
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
小野 新平 一般財団法人電力中央研究所, 材料科学研究所, 上席研究員 (30371298)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 電気二重層エレクトレット / 電気二重層トランジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、申請者が考案した新規蓄電固体材料である電気二重層エレクトレット(=材料の界面に異符号イオンを永久電荷として固定したポリマーフィルム)を利用して、材料に電気二重層エレクトレットを貼り付けるだけで接合した材料の界面の電子状態を大幅に変化させる手法を開拓に挑戦した。蓄電固体界面の作り出す超強電界を利用して、さまざまな材料の新機能の創発を目指した。 1)電気二重層ダイオードの作製 電気二重層エレクトレットを作製する際に、イオン液体を選ぶことで、正イオン、もしくは負イオンのみ固定することができる。今回は、正イオンのみを固定した電気二重層エレクトレットを使い、負イオンの動きを積極的に利用することで、半導体材料の界面の電子状態の制御を行った。その結果、通常3端子必要である電気二重層を利用した電界効果トランジスタが、イオンを固定することで、2端子で駆動することができるようになった。また、この方法を使うと、電界効果により半導体素子でダイオード特性を出すことができ、新しいエレクトロニクスの可能性を示した。 2)電気二重層を利用した磁性制御の研究 磁性材料であるCoFe2O4の上にPt薄膜を蒸着したところ、磁気近接効果によりPtに磁気モーメントが誘起された。このCoFe2O4/Pt薄膜を利用して、イオン液体を利用した電界効果を行ったところ、Ptの電子状態を制御することでPtに誘起された磁気モーメントが変調できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、電気二重層エレクトレットを利用したデバイスに関して、フランスと共同で特許出願を行った。研究は順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
電気二重層エレクトレットを利用した新規デバイスの開発だけでなく、電気二重層エレクトレットそのものを分析し、電気二重層の構造、形成メカニズムを明らかにすることにも挑戦していきたい。放射光、原子間力顕微鏡を利用した電気二重層エレクトレット表面の状態評価、理論計算による実験のバックアップにより、電気二重層の構造を明らかにする。
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