2020 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物多胞体形成とミクロオートファジーに関与するESCRT因子の同定
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
20H05305
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
森田 英嗣 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (70344653)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ミクロオートファジー / ESCRT |
Outline of Annual Research Achievements |
ミクロオートファジーはESCRT (endosomal sorting complex required for transport complex) 因子によって制御されている。しかしながら、哺乳動物の場合ESCRT因子は30種類以上に及び、それらが全てこの経路に機能しているわけではない。本研究では、ミクロオートファジーに特異的に作用するESCRT因子を同定し、ミクロオートファジーの分子機構の解明を目指す。R2年度はまず、 Rab5Aのドミナントアクティブ変異体:Rab5Q79AをHeLa細胞に発現させ、膜融合促進により肥大化したエンドソームの内部に形成される内腔小胞(Intralumenal vesicles : ILVs)の有無を調べることでミクロオートファジーを可視化する実験系を構築した。この実験系を用いて、TSG101、VPS4の他に、CHMP2、CHMP4、CHMP5、CHMP6などのESCRT因子をノックダウンした場合にILVsの形成が抑制されることを見出した。また、20種類に及ぶ既知のILVsマーカー分子にHiBiTレポータータグを融合したILVsマーカーライブラリを作製し、各マーカーの内腔小胞への移行・リソソームへの輸送・細胞外への分泌について調べた。その結果、CD63を含む多くのILVsマーカー分子はESCRT依存的に内腔小胞を形成するが、細胞外への分泌に関してはESCRT非依存的に行われることがわかった。一方、リソソーム機能を阻害すると、一部のマーカーの細胞外への分泌がESCRT依存的に促進されるという新しい現象を見出した。現在、タンデム蛍光タグを用いILVsマーカー分子のリソソームへの輸送がESCRT依存的に行われているか解析している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミクローオートファジーによって形成されるILV形成機序、制御分子の解明が進んでいる。さらに、細胞外に分泌されたILVを検出することで、ミクロオートファジーを評価する実験系の開発にも成功しており、成果を得ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)哺乳動物ミクロオートファジー・MVB形成に必要なESCRT因子の同定:CD63以外の他のマーカー分子を用いて、Rab5Aのドミナントアクティブ変異体:Rab5Q79Aによる肥大化したエンドソームのイメージング解析を進め、ミクロオートファジーの有無を評価する。ミクロオートファジーによるILVsの形成が確認されたものについては、siRNAによるESCRT因子のノックダウンのスクリーニングを行い必要なESCRT因子の同定を試みる。 (2)各種変異体ESCRT因子の入れ戻しによるESCRT-ESCRT相互作用の重要性: CHMP5ノックダウン細胞に、siRNAに抵抗性を示すサイレンス変異を導入した各種変異型CHMP5を発現させ機能が回復するか調べ、CHMP5の作用機序を明らかにする。 (3)各積み荷因子のILVへのソーティングシグナルの検索:ESCRT因子を阻害するVPS4A K173Q変異体の発現によって細胞外への放出が抑制されるILVマーカーの検索を比較定量プロテオーム解析にて行う。同定された積荷因子の配列情報から、ILVソーティングシグナルの検索を行う。 (4)マクロオートファジーに必要なESCRT因子の同定とESCRT因子の使い分けの意義:CHMP5ノックダウンがマクロオートファジーに与える影響について、タンデム蛍光タグを融合させたLC3やp62を用い解析を進める。
|