2020 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー代謝制御を介したオートファジーによる組織構築・維持
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
20H05311
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荻沼 政之 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (50825966)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オートファジー / エネルギー代謝 / ゼブラフィッシュ / ターコイズキリフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーの重要な役割の一つは、栄養素である炭水化物やアミノ酸の新生、あるいは、エネルギー代謝の場であるミトコンドリアを分解することにより、エネルギー代謝活性を制御する事である。近年、エネルギー代謝経路が細胞のエネルギー制御に留まらず、代謝過程で生じた代謝物がアセチル化、メチル化などの化学修飾を仲介することで、数々のシグナル経路、エピゲノム因子の活性を制御し、それによって複雑な生命現象を制御することが明らかになってきている。このことから、オートファジーがエネルギー代謝活性の制御を介してこれら多様な生命現象を制御する可能性が期待できる。しかしながら、オートファジーによるエネルギー代謝制御の役割は単純なエネルギー確保だと考えられており、シグナル・エピゲノム制御における役割は研究されていない。 本研究は、小型魚類におけるオートファジーとエネルギー代謝活性の可視化解析とオートファジー改変系を組み合わせ、「組織パターン形成・維持」と「発生休眠制御」におけるオートファジーの機能と制御を解明する事を目的とする。今年度は、当該研究によって独自開発、改良した交配不要で高速に変異魚を作成する方法『トリプルクリスパー法』を用いてオートファジーを変異体を作成した結果、オートファジーが休眠胚の維持に重要である事を解明した。さらに、オートファジーが成体の腸など組織で特徴的なパターンを示す事を新たに発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
<計画1>オートファジー勾配を介した組織パターン形成機構の解明 今年度は作成したオートファジーレポーターを用いて成体組織を観察した結果、成体の腸など組織で特徴的なパターンを示す事を発見した。
<計画2>発生休眠機構へのオートファジーの役割の解明 今年度は交配不要で高速に変異魚を作成する方法である『トリプルクリスパー法』を開発し、現在論文準備中である。さらに開発した『トリプルクリスパー法』を用いてオートファジーを変異体を作成した結果、オートファジーが休眠胚の維持に重要である事を解明した。
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Strategy for Future Research Activity |
<計画1>オートファジー勾配を介した組織パターン形成機構の解明:成体組織におけるオートファジーパターンは独自性の高い発見であり、このパターンが持つ意義を明らかにする。
<計画2>発生休眠機構へのオートファジーの役割の解明:前年度までにオートファジーが発生休眠維持に重要であることが分かったが、オートファジーがどのように発生休眠機構に寄与するのか明らかでない。そこで、その分子詳細を解明する。
<計画3>オートファジー勾配を介した組織パターン形成・維持機構の普遍性の検討:成体の腸などおけるオートファジーパターンが持つ意義を明らかにする。そこで、寿命が短いターコイズキリフィッシュを用いて、当該研究によって開発した『多重クリスパー法』を改変したモザイククリスパー法によってオートファジーをモザイクに抑制した個体を作成し、そのパターンを乱し、成体におけるオートファジーパターンが持つ役割を解明する。
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Research Products
(6 results)