2020 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外タンパク質の選択的分解経路の分子機構解析
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
20H05312
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
板倉 英祐 千葉大学, 大学院理学研究院, 助教 (90754218)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | シャペロン / 細胞外異常タンパク質 / タンパク質分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
ほ乳類血液中などの細胞外環境に存在する異常タンパク質を細胞内に取込み分解へ導く選択的分解機構の分子機構の解明を目的とする。この経路には、細胞外シャペロンが異常タンパク質を認識するステップと、その細胞外シャペロンと異常タンパク質の複合体を細胞表面で受容体が認識するステップが存在するが、その認識に関わる分子機構は不明である。ヘパラン硫酸受容体がテザリング因子としての細胞表面受容体の一つと考えられるが、さらに別の受容体タンパク質によって細胞表面で認識されると予想された。 本年度は、網羅的遺伝子スクリーニングの結果からこれまでに得られていた細胞外タンパク質分解に必要な候補遺伝子をさらに精査することで細胞膜タンパク質を選別し、その各遺伝子欠損細胞を作製した。細胞外異常タンパク質の取り込みに影響するかどうか、培養細胞取込みアッセイによって調べた。その結果、ある細胞膜タンパク質欠損によって細胞外異常タンパク質の取込みが減退することがわかった。現在さらにその詳細な機構を調べている。 さらに新規細胞外シャペロンを調べるために、疎水性結合性能をもつ血中タンパク質を質量分析により網羅的解析したところ、複数の候補タンパク質を選定した。それぞれの候補タンパク質を精製し、細胞外変性タンパク質の分解能があるかどうか培養細胞を用いて取り込みアッセイを行った。数種類の細胞外シャペロンが細胞外異常タンパク質の分解活性を示したころから、Chaperone and receptor mediated extracellular protein degradation (CRED)に関わる新規因子と期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
受容体候補を同定するために、網羅的遺伝子スクリーニングの結果を精査した。これまで同定していたヘパラン硫酸受容体とは別の膜タンパク質受容体を選別し、CIRSPRを用いて約30個遺伝子の各遺伝子欠損細胞株を作製し、実際に細胞外タンパク質分解取込み活性があるかどうかフローサイトメトリーによって調べた。その結果、一つの遺伝子の欠損細胞において取込み分解の減少が期待通り見られた。また新規細胞外シャペロンを同定するために行った血漿タンパク質からの疎水性指向性タンパク質の同定もうまく進み、3種類の分泌タンパク質が細胞外タンパク質分解活性をもつことが判明し、新規細胞外シャペロンとして期待される。今後、これらの詳細な機能解析により、細胞外の選択的分解に関する分子機構を明らかとする。
|
Strategy for Future Research Activity |
同定した受容体タンパク質候補が実際に直接の受容体として働いていることを確かめるため、受容体の細胞外領域部位を大量タンパク質精製する。大腸菌からの組換えタンパク質では適切な糖鎖などの修飾ができないと考えられるため、ほ乳類培養細から分泌させ精製する。精製した受容体細胞外領域のタンパク質を用いて、細胞外シャペロンとのin vitro結合実験生化学的解析や、細胞外シャペロンと共に培養上清に加えることで競合実験など細胞生物学的解析を行う。受容体と細胞外シャペロンの結合が見られる場合は、その結合部位をドメインの欠損体などを使用した分子細胞学的な手法を駆使して、受容体の機能解析を行う。 一方で同定した数種類の新規細胞外シャペロンの基質選択性の分子機構を調べるために、様々な異常タンパク質の分解活性がそれぞれ異なるのか、取込みアッセイによって調べる。また疎水性ドメインを数アミノ酸ごとに置換した疎水性モデルタンパク質を用いてin vitro結合アッセイを行い、結合指向性についても調べる。 これらの実験から、細胞外異常タンパク質の分解システムの基質選択性に関する分子機構の解明を目指す。
|
Research Products
(6 results)