2020 Fiscal Year Annual Research Report
Regulatory mechanisms of protein-protein interactions acting as a mitophagy initiation site
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
20H05324
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 浩二 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (40455217)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / オートファジー / タンパク質間相互作用 / 生物発光 / スプリットルシフェラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアを特異的に分別・除去する仕組みは「マイトファジー」と呼ばれ、選択的オートファジーの一つとして知られている。近年、数多くの研究からマイトファジーと様々な疾患との関連が明白となる一方、病態を理解するのに不可欠な分子機構や生理機能は、未だ多くの謎に包まれている。本研究では、出芽酵母をモデルに用いて、マイトファジーの初期段階において重要な役割を果たす分別標識タンパク質と、分解基質を隔離するオートファゴソームの形成に必要なオートファジーマシナリーの鍵タンパク質との相互作用に焦点を絞り、その作用機序を明らかにすることを目的とする。
酵母のマイトファジーにおいて、分別標識タンパク質Atg32はミトコンドリア表面に局在し、リン酸化され、足場タンパク質Atg11に直接結合する。Atg11は、分解基質を隔離する構造体「オートファゴソーム」の形成に必要なコアAtgタンパク質群の集積に働く。すなわち、Atg32-Atg11複合体は、ミトコンドリアを分解基質とするオートファゴソーム形成の起点であり、下流のコアAtgタンパク質群には依存しないと考えられてきたが、実際にそうなのかは検証されていない。そこで今年度の研究では、生細胞内のAtg32-Atg11相互作用を評価する非侵襲的な定量アッセイ系NanoBiT (32-11)を確立し、コアAtgタンパク質の欠損変異体を系統的に調べた結果、オートファジーに必須なタンパク質キナーゼAtg1の欠損細胞でAtg32-Atg11複合体形成が部分的に抑制されることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのデータから、Atg32-Atg11相互作用の下流で働くコアAtgタンパク質のうち、Atg1の欠損細胞のみで、Atg32-Atg11相互作用が低下することがわかった。栄養飢餓で誘導される非選択的オートファジーにおいて、Atg1はAtg13, Atg17, Atg29, Atg31と共にオートファジー始動複合体を形成する。一方、Atg13, Atg17, Atg29, Atg31の欠損細胞では、Atg32-Atg11相互作用はわずかの低下しか見られなかった。なお、選択的オートファジーにおいて、Atg1はAtg11と相互作用することが知られている。すなわち、Atg1はAtg11を介して、Atg32-Atg11複合体と相互作用している可能性が考えられる。
マイトファジー誘導条件下において、Atg32はタンパク質キナーゼCK2によりリン酸化される。このリン酸化は、Atg32-Atg11相互作用に重要であることがわかっている。興味深いことに、Atg32のリン酸化バンドパターンはAtg1およびAtg11欠損変異体で部分的に消失することもわかった。
なお、生細胞内のAtg32-Atg11相互作用を定量解析するためのNanoBiT (32-11)系発現株の作成過程においては、内部標準としてAtg32に3コピーのGFPを付加し、NanoBiT (32-11)系発現株のマイトファジー 活性を野生株の80%まで改善させることにも成功した。このように、実験系を工夫することにより、マイトファジーの始動に重要なタンパク質間相互作用の定量評価系が確立でき、コアAtgタンパク質の関与も明らかになったことから、本研究計画は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
マイトファジーの始動に際し、Atg32はAtg11と相互作用するが、ユビキチン様タンパク質Atg8とも相互作用する。Atg8は、リン脂質フォスファチジルエタノールアミンに結合し、オートファゴソームに局在するコアAtgタンパク質であり、選択的オートファジーの鍵因子の共通モチーフAIM(Atg8-interacting motif)を介して分解基質に標的化し、分解基質の隔離に寄与すると考えられているが、その詳細な分子機序については不明な点が数多く残されている。
そこで今後は、Atg32-Atg8相互作用の定量アッセイ系を確立し、その制御機構を明らかにしてゆく。具体的には、(1)非侵襲的な定量アッセイ系NanoBiT (32-8)を確立し、コアAtgタンパク質の欠損による影響を解析する。(2)AIMの変異体およびその近傍の保存されたセリン残基をアラニンまたはアスパラギン酸で置換したAtg32の変異体を作成し、Atg8との相互作用を調べる。(3)Atg32-Atg11相互作用に重要なAtg32のリン酸化を担うCK2キナーゼ複合体の構成因子を欠損させ、Atg8との相互作用にも影響がないかどうか検証する。(4)Atg32 AIMペプチドと精製Atg8を用いたin vitroでの等温滴定型熱量測定(isothermal titration calorimetry, ITC)アッセイにより、NanoBiT(32-8)解析で得られた知見についての検証を行う。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Selective autophagy of intracellular organelles: Recent research advances2021
Author(s)
Li Wen、He Pengcheng、Huang Yuge、Li Yi-Fang、Lu Jiahong、Li Min、Kurihara Hiroshi、Luo Zhuo、Meng Tian、Onishi Mashun、Ma Changle、Jiang Lei、Hu Yongquan、Gong Qing、Zhu Dongxing、Xu Yiming、Liu Rong、Liu Lei、Yi Cong、Zhu Yushan、Ma Ningfang、Okamoto Koji、Xie Zhiping、Liu Jinbao、He Rong-Rong、Feng Du
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Journal Title
Theranostics
Volume: 11
Pages: 222~256
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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