2020 Fiscal Year Annual Research Report
Roles of spatiotemporal autophagy driving plant growth
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
20H05330
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
郷 達明 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (80511419)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オートファジー / 根冠 / 細胞分化 / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
根冠は、植物の根の先端をキャップ状に覆っており、細胞層の新生と剥離を周期的に繰り返しながら、形態と機能を維持するというユニークな組織である。細胞の新生から剥離までの遷移を数細胞層において連続的に観察できるため、植物発生における細胞の再構成の優れたモデルである。本研究では、根冠の細胞動態の長時間かつ高精細な観察を推進し、根冠細胞の分化と剥離にともなった再構成機構を明らかにすることを目的とする。 これまでに、成長する根の先端を自動的に追尾する「水平光軸型動体トラッキング顕微鏡」をもちいた革新的な観察法を確立し、根冠の細胞動態を長時間かつ高精細に解析することに成功した。その結果、根冠最外層は、剥離に先立って、細胞質の縮小および液胞の急激な肥大化により、内層の細胞とは全く異なる細胞へと再構成されることを見出した。また、根冠内部の細胞にはデンプンを蓄積し発達した巨大なアミロプラストが存在するが、最外層への分化に伴って、アミロプラスト内のデンプンは分解されて小さくなることが明らかになった。 細胞質の縮小と液胞の肥大化を伴う細胞再構成の特徴から、細胞内消化機構であるオートファジーが関与するという仮説をたて、実際にオートファゴソーム形成が根冠の最外層特異的に活性化されること、また、オートファジー変異体において、細胞質の縮小や液胞化などの細胞の再構成が抑制されることを見出した。さらに、シロイヌナズナの野生型では最外層が層状構造を保って剥離するのに対して、オートファジー変異体では細胞間の接着が過剰に緩み、個別に脱離する異常な剥離様式が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、根冠の細胞動態を長時間・高精細に撮影する技術が確立され、剥離に先立って,細胞質の縮小および液胞の急激な肥大化により,内層の細胞とは全く異なる細胞へと再構成されることを見出した。また、オートファジーが最外層特異的に活性化することで、細胞の再構成に関わることを新たに見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
オートファジー活性、液胞やアミロプラストの形態変化、および、核の位置の変化を可視化し、根冠最外層の再構成過程の詳細を明らかにする。また、野生型とオートファジー変異体の比較から、根冠細胞の再構成過程におけるオートファジーの役割を明らかにする。 根冠分化におけるオートファジーの時空間特異性を明らかにするために、根冠最外層特異的に発現する遺伝子のプロモーターを使用して、オートファジー変異体の局所的相補ラインを作出して、根冠細胞の再構成や剥離の表現型解析を行う。
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Research Products
(2 results)