2020 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロリポファジーの脂肪滴・液胞膜接着機構と生理的意義の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
20H05339
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
辻 琢磨 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (40725628)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リポファジー / 脂肪滴 / 出芽酵母 / 電子顕微鏡 / 凍結割断レプリカ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
静止期出芽酵母では、脂肪滴が液胞膜の特殊なドメインと接着し、ミクロオートファジーにより液胞内に取り込まれる(=静止期ミクロリポファジー)。静止期ミクロリポファジーを駆動する分子メカニズムはいまだ多くが未解明である。脂肪滴が液胞膜に包み込まれる際には、液胞膜分子と脂肪滴分子の相互作用が予想される。この観点から我々は脂肪滴タンパク質のひとつである、ERAD関連分子Xに注目し、Xが静止期リポファジーに必須であることを見出した。また、N末端領域、C末端領域、UBAドメインをそれぞれ欠損するX変異体を発現させた酵母でも静止期リポファジー不全になることを明らかにした。これら変異株のERAD、ミトコンドリアには顕著な異常は見られないことから、X変異酵母の静止期リポファジー異常は脂肪滴自体の変化に起因すると考えられる。 一方で、XはERAD関連分子であることから、対数増殖期と静止期それぞれの出芽酵母から脂肪滴画分を調製してユビキチン化タンパク質量を比較したところ、静止期の脂肪滴には増殖期よりも多くのユビキチン化タンパク質が含まれること、またX欠損株では脂肪滴のユビキチン化タンパク質が野生株よりも減少することが明らかになった。静止期の酵母ではユビキチン・プロテアソーム分解系の活性が低下する。静止期リポファジーは細胞内の不要タンパク質を脂肪滴に搭載して液胞内で分解する分解システムであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子Xがリポファジーに必須であることを見出した。また静止期脂肪滴にX依存的にユビキチン化タンパク質が搭載されることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
様々な変異株を解析しリポファジーの分子メカニズムを明らかにする。
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