2020 Fiscal Year Annual Research Report
マイトファジー破綻によるミトコンドリア解析とパーキンソン病モデルの樹立
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
20H05341
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
佐藤 栄人 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00445537)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / ミトコンドリア / Parkin / ドーパミン細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
不良なミトコンドリアはPINK1とParkinが協調して働くことによって除去され、ミトコンドリア品質が維持される。その分子機構については多くの知見が集積し理解が深まってきた。しかし、Parkinがin vivoで不良ミトコンドリアの品質管理をいかに実行するか不明である。そこで、Parkinの生体内での機能を明らかにするために、運動症状を呈する110週齢の高齢Parkinノックアウトマウスのドーパミン細胞に含まれるミトコンドリアに着目し観察した。ドーパミン神経細胞を識別するためにTH染色、ミトコンドリアを標識するためにcytochrome C(ミトコンドリア内膜タンパク質)の蛍光二重染色を実施した。Parkinノックアウトマウスでは小さく断片化したミトコンドリアが観察された。このような小型のミトコンドリアは細胞質内だけでなく、細胞体の外側、即ち、軸索や樹状突起にも局在していた。ドーパミン神経細胞のミトコンドリアを定量するために、TH陽性細胞の細胞体に存在するミトコンドリア面積を解析したところ、Parkinノックアウトマウスのドーパミン細胞ではミトコンドリアの平均面積が野生型に比べ小さいことが判明した。次に、ミトコンドリアが細胞体に占める面積の割合を分析したところ、Parkinノックアウトマウスでその比率が優位に高かった。この結果は変性ミトコンドリアが高齢マウスのドーパミン神経で蓄積・増加していることを示している。ミトコンドリア品質管理の破綻がパーキンソン病の病態の一端であることを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミトコンドリア品質管理の破綻がパーキンソン病の病態であることを証明することに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
変異ミトコンドリアDNA(mtDNA)の蓄積がパーキンソン病の内的病因であるとの仮説のもと、変異mtDNAを過剰に蓄積するモデルマウス(Polg1変異マウス)とParkinノックアウトマウスを掛け合わせ、マイトファジー破綻下におけるドーパミン細胞の選択的な脆弱性を証明することによりパーキンソン病の発症・進行に与える影響を明らかにする。
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