2020 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸トランスポーターが担うオートファジー維持機構と炎症遷延化
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
20H05354
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
反町 典子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 分子炎症制御プロジェクト長 (30217468)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自然免疫 / 炎症 / アミノ酸トランスポーター / オートファジー / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アミノ酸トランスポーターSLC15A4に依存したオートファジー維持機構を理解し、オートファジーの維持が炎症応答に果たす役割を明らかにすることを目的としている。SLC15A4は、免疫細胞のLAMP1陽性小胞に局在するプロトン共役型アミノ酸トランスポーターで、炎症応答に根幹的役割を果たし、全身性エリテマトーデスや炎症性腸疾患などの病態形成を担っている。申請者は近位依存性ビオチン標識法を用いてSLC15A4相互作用分子として複数のオートファジー制御因子を同定し、SLC15A4がアミノ酸飢餓下のオートファジー維持に必須の役割を果たすことを見いだし、メカニズムを明らかにした。 SLC15A4をノックダウンしたヒト樹状細胞株(SLC15A4 KD細胞)を用いて、アミノ酸欠乏培地EBSSによって誘導されるオートファジーを解析することにより、SLC15A4がオートファジーの誘導には必須ではないが、EBSS置換後60分以降のオートファジーの維持に必須であること、そのためSLC15A4を欠損すると、EBSS中で細胞は形態異常を伴って細胞死に至ることを見いだした。その際、SLC15A4 KD細胞では時間とともにミトコンドリア膜電位が著しく低下し、EBSSに含まれるグルコースがOXPHOSに利用されないことを明らかにした。さらに。フラックスアナライザー、メタボローム解析、種々の代謝酵素について詳細な生化学解析から、SLC15A4はピルビン酸脱水素酵素の活性化を媒介することで、ピルビン酸をアセチルCoAに変換し、TCA回路へと炭素源を供給するうえで極めて重要な役割を果たしていることを明らかにした。本研究は、SLC15A4がアミノ酸飢餓下で解糖系とTCA回路の連結を媒介し、OXPHOSに依存するATPの供給を担うことによって、自然免疫細胞のオートファジーの維持を支えていることを明らかにしたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自然免疫細胞におけるアミノ酸飢餓下のオートファジー維持機構として、アミノ酸トランスポーターに依存した炭素源の代謝フローとATP供給を明らかにし、論文として投稿に至ったことは、概ね順調に研究が進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、自然免疫細胞におけるオートファジーが炎症応答に果たす役割を明らかにしていく。さらに、自然免疫細胞に優先して発現し、線維症などの増悪に関わるアミノ酸トランスポーターSLC15A3が、オートファジー関連分子と会合し、サイトカイン産生を制御することを見いだしていることから、今後① SLC15A3によるオートファジーの制御機構、② SLC15A3が媒介するオートファジーに依存したサイトカイン産生・分泌のメカニズム、③ その生体炎症応答における役割と重要性、について解析を進めていく。オートファジーに依存したタンパク分泌経路に着目し、総括班とも連携し、エンドリソソームシステムとオートファジーの膜構造の情報と炎症応答を連結させた理解を進めるべく解析を行う予定である。
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Research Products
(6 results)