2020 Fiscal Year Annual Research Report
植物胚発生における胚性再獲得と全能性消失機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Program of totipotency: From decoding to designing |
Project/Area Number |
20H05358
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
栗原 大輔 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任講師 (90609439)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 植物 / 胚発生 / 細胞運命 / 細胞間コミュニケーション / オーキシン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、オーキシンは胚発生における全能性再獲得に寄与するか?、および胚柄細胞における全能性消失時期特定について、オーキシン変異体を用いたレーザー照射実験による全能性再獲得解析を実施した。 オーキシンは体細胞リプログラミング過程でも全能性獲得に重要な植物ホルモンであると知られているが、受精胚における全能性プログラムにどのように寄与しているかは未だ不明である。受精後、どの時期からオーキシンが受精胚に存在するかはまだ不明であるが、母体組織からのオーキシン供給も報告されているため、実験にはオーキシン生合成遺伝子変異体を用いた。 また、これまで受精卵が不等分裂した一細胞期胚の頂端細胞を破壊したとき、胚柄細胞が細胞運命を転換することは明らかにしていたが、その後どの時期まで全能性再獲得があるかは不明である。そこで、オーキシン生合成遺伝子変異体を用いて、受精卵分裂直後の一細胞期胚において頂端細胞をレーザーで破壊して、その後の発生を二光子顕微鏡でライブイメージングを行った。 その結果、オーキシン生合成変異体についても、野生型と同様に頂端細胞が破壊されたときには胚柄細胞の細胞運命転換が見られた。また、一細胞期胚よりも分裂が進んだ初期胚において、同様に胚体細胞を破壊したところ胚柄細胞の細胞運命転換が見られた。このことより、受精卵分裂直後だけではなく、分裂が進んだ時期でも全能性再獲得能があること、またオーキシンは全能性再獲得に関与していないことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画である、オーキシンは胚発生における全能性再獲得に寄与するか?、および胚柄細胞における全能性消失時期特定について、結果を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
オーキシンについては阻害剤を用いて、さらに解析を進める。また、より後期の胚を用いて解析を進め、全能性消失時期を特定し、全能性消失・全能性再獲得に重要な遺伝子群を同定する。
|
Research Products
(3 results)