2020 Fiscal Year Annual Research Report
Inheritance mechanism of phase separated nuclear bodies built on noncoding RNAs
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanisms underlying replication of non-genomic codes that mediate plasticity and robustness for cellular inheritance |
Project/Area Number |
20H05377
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣瀬 哲郎 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (30273220)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | RNA / エピジェネティクス / 核構造・機能 / 遺伝子発現調節 / 細胞小器官 |
Outline of Annual Research Achievements |
非コードRNAによって形成される核内相分離構造体の継承機構を明らかにするために、非膜性構造体のより詳細な内部構造とその形成機構について解析を実施した。まず熱ストレスによって特異的に形成される核内ストレス体(nSB)について温度変化とその後のリカバリーの時間経過によって生じる構造体の内部変化を追跡する研究を進めた。nSBはこれまでに温度変化に応じてリン酸化酵素CLK1をnSB内にリクルートすることによって、ストレス中にnSB内に係留していたSRタンパク質をリカバリー期に迅速にリン酸化することによって、温度依存的なRNAスプライシングを制御していることを見出した。今回nSB機能の新たな側面として、nSBの骨格分子であるHSATIII ncRNAが高度にm6A修飾を受けていることを発見した。nSBは、このm6A修飾のリーダータンパク質であるYTHDC1を温度変化依存的に繋留していること、さらにもともとYTHDC1がnSBの外で標的mRNAに結合して促進していたRNAスプライシングが、このnSBへの繋留によって負に制御されることを見出した。こうしてnSBには温度変化に依存した2つの異なる分子機構、タンパク質リン酸化の促進とRNA修飾を介した制御因子の繋留、を介して細胞内の特定のmRNAの温度依存的スプライシングを制御していることが明らかになった。今後、こうした2つの分子機構を介した制御がさらなる時間経過に沿って、どのように保持され、且つ失われていくのか、また細胞分裂期に突入した際に、これらの構造体構成がどのように変化していくのかについて明らかにすることができると考えられる。一方、もう一つの構造体であるパラスペックルの構造形成についてもゲノム編集を用いた機能領域の解析を進めて、構造体の微細構造を形成するためのRNA領域を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
核内ncRNAであるHSATIIIのメチル化を発見し、それを介した制御因子YTHDC1のnSBへの繋留を介した新規なRNAスプライシング制御機構を発見した。この成果は、ncRNAのメチル化の発見、温度変化に応答した新規制御機能の発見、さらには非膜性構造体の作動機構の新知見という観点から新規性が高いものであると評価できる。またパラスペックルの微細構造形成を担うさらなるRNA領域の同定についてもncRNAの作動機構に関する重要な知見であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで見出したncRNAを介した非膜性構造体の多彩な構造的要素と機能的要素が、温度変化後の時間経過に沿ってどのように動的に変化していくのか、さらに細胞分裂の過程でどのように次世代の細胞に受け渡されていくのかを追跡することによって、細胞内で形成される相分離環境の継承という新しい視点での重要な知見が獲得できると考えられる。今後は特にこれまで当グループが至適化したChIRP法を時間軸に沿って実施し、構造体の構成因子を包括的にとらえる手法で構造体の動態変化を明らかにしていく予定である。
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Research Products
(11 results)