2020 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the mechanisms by which chromatin assembly factors promote the maintenance of genome stability upon inhibition of DNA replication
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanisms underlying replication of non-genomic codes that mediate plasticity and robustness for cellular inheritance |
Project/Area Number |
20H05382
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 真理子 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (50722013)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | CAF-1複合体 / クロマチン構造 / DNA複製阻害 / ゲノム安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA複製装置の進行はDNA上の様々な障害によって阻害さるが、クロマチン構造を制御する因子がどのような分子機構でDNA複製阻害応答を制御するのかは不明である。出芽酵母のリボソームRNA遺伝子(rDNA)領域には約150個のrDNA配列が縦列に連なっている。この領域ではDNA複製阻害が高頻度で起こるだけでなく、このDNA複製阻害に正しく応答できないとrDNAコピー数変動が高頻度で起こる。研究代表者は先行研究において、ヌクレオソーム再構築因子であるCAF-1複合体、ヒストンアセチル化酵素Rtt109、Rtt101-Mms1 E3ユビキチンリガーゼのサブユニットであるMms22がrDNAコピー数変化を抑制する因子であることを明らかにした。本研究では、これらの因子がDNA複製阻害応答を制御する分子機構を明らかにすることを目指した。 2020年度の研究計画では、CAF-1複合体およびMms22タンパク質がrDNA領域のDNA複製に与える影響を解析することを目指した(研究項目1)。そこでCAF-1複合体欠損細胞において、二次元アガロースゲル電気泳動法を用いてDNA複製中間体を解析したが、CAF-1複合体が欠損しても異常なDNA複製中間体は検出されなかった。さらにCAF-1複合体, Rtt109, Mms22タンパク質がDNA複製阻害によって生じるDNA二本鎖切断修復に関与するかを調べた(研究項目2)。CAF-1欠損細胞では、DNA二本鎖切断の削り込みが野生型の二倍の頻度で起きていたことから、このことが原因でrDNAコピー数変化を誘導する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者の事情により、当初申請時の計画を変更する必要があったが、変更後の研究計画は予定通り行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究計画では、CAF-1複合体、Rtt109, Mms22タンパク質がrDNA領域内のクロマチン構造をどのように制御しているのかを明らかにする予定である(研究項目1)。そこで、これらの因子を欠損させた細胞を用いてマイクロコッカスヌクレアーゼアッセイを行う。さらに、クロマチン構造制御に関与するヒストン修飾状態をクロマチン免疫沈降法によって解析する予定である。さらに、クロマチン再構築因子がDNA複製阻害応答過程でrDNAコピー数変化を制御する原因を特定する(研究項目2)。先行研究から、rDNA領域への姉妹染色分体接着因子コヒーシンの結合はrDNAコピー数変化を抑制することが知られている。そこで、CAF-1複合体、Rtt109, Mms22タンパク質によるクロマチン構造制御がコヒーシン結合を制御するのかどうかについてクロマチン免疫沈降法によって解析する予定である。
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