2020 Fiscal Year Annual Research Report
非ゲノム複製の破綻がもたらすDNA損傷メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanisms underlying replication of non-genomic codes that mediate plasticity and robustness for cellular inheritance |
Project/Area Number |
20H05386
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
竹林 慎一郎 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (50392022)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | DNMT1 / ヘミメチル化DNA / DNA損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近我々は,非ゲノム複製の破綻によって生じるヘミメチル化DNAがDNA損傷を引き起こしていること示唆するデータを得ており,ヘミメチル化DNAを認識するタンパク質がゲノムの不安定性に関与しているというモデルを提唱している。本研究では,このモデルの詳細な検証実験を通して,非ゲノム複製の意義とその破綻が細胞や個体レベルの恒常性維持に及ぼす影響を再評価することを目的とする。本年度は,ヘミメチル化DNA結合タンパク質のノックダウンや条件的破壊株を用いて,ヘミメチル化誘導性のDNA損傷における役割を調べた。DNA損傷の原因となる複製フォークの遅延の測定には,複製フォークの進行速度を一分子レベルのDNAで可視化出来る分子コーミング法という当研究室で独自に開発を進めている手法を用いた。その結果,DNAメチル化酵素阻害によりヘミメチル化DNAが生じるような条件下では複製フォークの遅延が見られたが,この遅延効果はヘミメチル化DNA結合タンパク質のノックダウンや条件的破壊によりキャンセルされることが明らかとなった。つまり,ヘミメチル化DNA結合タンパク質がDNA損傷を引き起こしているという我々のモデルを支持する結果が得られた。また,大腸菌で発現・精製したDNA複製タンパク質(ヘリカーゼ活性を持つMCM複合体)と合成ヘミメチル化二本鎖DNAを混合し,ヘミメチル化結合タンパク質の有無で複製フォークの進行が停止するかどうかについてin vitroで再構築する実験系を確立し,現在データ収集を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,分子コーミング法により,非ゲノム複製の破綻に伴うDNA損傷にヘミメチル化DNA結合タンパク質が関与していることを検証できた。また,In vitro複製系の構築も順調に進み,モデルの再現実験を行う準備ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き,我々が提唱するヘミメチル化DNAとそれに結合するタンパク質によるDNA損傷モデルを検証することを中心に研究を進める。具体的には,ヘミメチル化によって誘導されるDNA損傷部位のゲノム網羅的同定(DNA損傷部位に集積するγH2AXタンパク質を指標に,ChIPシーケンスによりヘミメチル化誘導性のDNA損傷部位をヒトゲノム上で網羅的に同定),ゼブラフィッシュを用いた非ゲノム複製破綻モデルの作出(DNAメチル化の基質供給系の阻害で飼育培養したゼブラフィッシュ初期胚において,ヘミメチル化誘導性のDNA損傷が観察されるのかを検証)などを進める。
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Research Products
(9 results)