2020 Fiscal Year Annual Research Report
エピゲノムリプログラミング過程のゆらぎに関わるクロマチン高次動態の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanisms underlying replication of non-genomic codes that mediate plasticity and robustness for cellular inheritance |
Project/Area Number |
20H05387
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横林 しほり 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点助教 (20615736)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / リプログラミング / クロマチン動態 / ヒトiPS細胞 / 生殖細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
エピゲノムリプログラミングは、エピゲノム状態のゲノムワイドな変化を介して細胞の運命変化や初期化を促す生命現象であり、哺乳類の初期胚や始原生殖細胞の発生、さらにiPS細胞の樹立に重要な役割を果たす現象である。しかし、リプログラミング過程が高次クロマチン動態に与える影響、およびその相互関係は明らかではない。本研究では、これまでにヒトiPS細胞で観察されたエピゲノム多型(多様性、ゆらぎ)に着目し、ヒトiPS細胞エピゲノム状態維持に関わる高次クロマチン動態機序を明らかにすることを目的とする。さらに試験管内誘導系を用いて、ヒトiPS細胞株のエピゲノム多型が生殖細胞分化に与える影響を、高次クロマチン動態に着目して明らかにすることを目的とする。 令和2年度は、エピゲノム多型が観察されているヒトiPS細胞株群について、DNAメチル化解析データを取得し、これまでに取得されている種々のヒストン修飾のChIPseqデータと統合解析を行った。またChIPseqデータで示された女性細胞株群のX染色体におけるエピゲノム多様性について、Immuno-DNA-FISH実験を導入し、抑制性ヒストン修飾の片方のX染色体への集積、その集積度、および集積するヒストン修飾種が細胞株により異なることを顕微鏡的に検証した。さらに、既報の各細胞株におけるPGCLC誘導効率と、検出されたエピゲノム多様性領域におけるエピゲノム修飾集積度との相関解析を行い、PGCLC誘導効率への影響が予想される制御領域の同定、および候補遺伝子の同定を行った。これらの解析からヒトiPS細胞におけるエピゲノム状態が生殖細胞誘導過程に与える影響について重要な知見が得られた。これらの結果は、現在査読中の論文で発表予定である。加えて、クロマチン高次動態解析手法の準備、および種々のヒトiPS細胞株を用いた試験管内PGCLC分化系の検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は生殖細胞分化に関わるエピゲノム多型の精細解析およびその成果発表に向けて進展した。クロマチン高次動態解析に向けた実験系および解析系の準備も概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
生殖細胞分化過程におけるエピゲノム多型の高次動態の解明に向けて、Immuno-DNA-FISH法およびクロマチン高次解析法による解析実験をさらに推進する予定である。
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