2020 Fiscal Year Annual Research Report
染色体末端特異的凝縮構造による非ゲノム情報維持機構
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanisms underlying replication of non-genomic codes that mediate plasticity and robustness for cellular inheritance |
Project/Area Number |
20H05388
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加納 純子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10323809)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クロマチン / 染色体末端 / 大型類人猿 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
線状染色体の末端に存在するドメインであるテロメアに隣接して「サブテロメア」と呼ばれるドメインが存在する。本研究では“染色体末端近傍領域の特徴的な凝縮構造”という非ゲノム情報がどのように形成・複製され、どのような機能を持っているのかを明らかにすることを目的とした。特に、ヒトと大型類人猿のサブテロメア構造の違いに着目し、大型類人猿のStSat領域は具体的にどのようなクロマチン構造を形成しているのか?大型類人猿のStSat領域の凝縮構造はどのような機能をもっているのか?その凝縮構造によって、近傍のサブテロメア遺伝子の発現に影響を与えているのか?について解析を行うことにした。チンパンジーの皮膚由来の細胞を用いて、ChIP解析によってStSat領域のヒストン修飾状態(H3K9me, H3K27meなど)を調べたところ、H3K9me修飾が顕著に見られ、StSat領域はヘテロクロマチン構造をとっていることが明らかになった。さらにDNAメチル 化状態も解析したところ、StSat領域において顕著にDNAがメチル化されていることがわかった。次に、PICh法によってStSat領域特異的に結合するタンパク質を同定することえを試みている。一方、これまでにenChIP法を用いて、細胞内でStSat配列に結合する候補タンパク質を同定した(未発表)。その結果、多数のRNA関連タンパク質が同定された。このことから、StSat DNAからRNAが転写され、それが凝縮構造の形成に関与している可能性が考えられた。この他にヒストンH1ファミリータンパク質が2種類(H1.2およびH1.5)同定された。これらは染色体凝縮構造形成に関与することが示唆されており、StSat領域においても同様の機能がある可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PICh法によるStSat領域結合タンパク質の同定に向けて順調に進んでいる。ヒトと大型類人猿の遺伝子発現の違いの解析なども進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はStSat結合タンパク質の候補因子のノックダウン実験を行ない、StSat特異的なクロマチン構造の形成過程を明らかにする予定である。
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