2020 Fiscal Year Annual Research Report
細胞運命転換の自律的周期性とその変調を導くオーキシン動態制御
Publicly Offered Research
Project Area | Intrinsic periodicity of cellular systems and its modulation as the driving force behind plant development |
Project/Area Number |
20H05430
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
石川 雅樹 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 助教 (00586894)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒメツリガネゴケ / 原糸体 / オーキシン / 細胞運命 / オーキシン排出担体 |
Outline of Annual Research Achievements |
原糸体頂端幹細胞の細胞運命転換はオーキシンによって制御されており、外生オーキシン投与によって、カウロネマ頂端幹細胞へと細胞運命が固定される。これまでに、オーキシン排出担体PGP19bがオーキシン量に依存して細胞内局在を変化させ、頂端幹細胞のオーキシン量を変化させる可能性が示された。また、クロロネマ・カウロネマ頂端幹細胞は、細胞伸長と分裂速度が異なるため、それぞれの細胞ダイナミクスが細胞内のオーキシン量を変える可能性が高い。これらの結果から、PGP19bの局在変化および細胞ダイナミクスによるオーキシン量変化と細胞運命転換はフィードバックの関係にあり、 それによりオーキシンの周期性が生み出され、周期的な細胞運命転換が起こるのではないかという仮説を立てた。この仮説を検証するため、本年度で以下の実験を行った。 (1) 高時間分解能オーキシンセンサーを導入したヒメツリガネゴケを作製し、奈良先端大の中島 博士、郷 博士との共同研究により、頂端幹細胞の長時間タイムラプス解析を行い、細胞動態変化とオーキシン量変化の観察に成功した。また、PGP19b遺伝子のN末端側にmClover3蛍光タンパク質を挿入し、mClover3-PGP19b融合タンパク質を発現させる形質転換体を作製し、オーキシン添加による細胞内局在変化を調べたところ、細胞内のオーキシン量の変化によってPGP19bの細胞内局在が制御されていることが分かった。 (2) PGP19bの細胞内局在制御に関わる因子を探索するため、PGP19b近傍に存在するタンパク質を網羅的にビオチン化し、アビジンビーズでビオチン化されたタンパク質を回収する近位依存性ビオチン標識法を試みた。そこでPGP19bのN末端側にビオチンリガーゼであるTurboIDを連結させたTurboID-PGP19bをヒメツリガネゴケに発現させ、ビオチン存在下で培養したところ、ビオチン化されたタンパク質を検出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オーキシンセンサーラインを用いて、原糸体幹細胞におけるオーキシンレベルの周期的な変化の観察に成功し、近位依存性ビオチン標識法の実験条件もほぼ確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) オーキシンセンサーライン、および、mClover3-PGP19bを用いて、頂端幹細胞のオーキシン量変化と細胞伸長・分裂、PGP19bの細胞膜の局在量を定量化し、オーキシン合成・不活性化が一定であるという仮定をいれ、オーキシン動態と細胞運命転換のモデルを構築する。シミュレーションによりオーキシン量に周期性が生じるのか、また、外生オーキシン投与によって周期性が変調するのかを検討する。 (2) 近位依存性ビオチン標識法によりPGP19bと結合する因子を同定し、候補となる因子をコードする遺伝子を欠失させ、原糸体頂端幹細胞の周期性およびPGP19bの局在変化について解析する。
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Research Products
(14 results)