2020 Fiscal Year Annual Research Report
TR-SFX study of non-canonical rhodopsin
Publicly Offered Research
Project Area | Non-equilibrium-state molecular movies and their applications |
Project/Area Number |
20H05437
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
志甫谷 渉 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (30809421)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ロドプシン / X線自由電子レーザー / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、放射光やX線自由電子レーザーを用いたTR-SFXによって、新奇ロドプシンであるヘリオロドプシン(HeR)やシゾロドプシン(SzR)の光受容に伴う構造変化のダイナミクスや動作原理を解明することである。2018年にHeRという従来のロドプシンとは配列相同性が非常に低い微生物型ロドプシンが発見された。HeRはイオン輸送能がなく光反応サイクルが10秒と長いため、相互作用パートナーを介したシグナル伝達蛋白質であると推測されている。さらにバクテリオロドプシン(BR)とHeRの中間に位置する、内向きプロトンポンプSzRが発見された。こうした非古典的なロドプシンの全体構造やレチナールの結合様式、光による構造変化やその動作原理は全くもって不明である。 本研究は、TR-SFXによってHeRの分子動画を作成するという本領域の研究目標そのものを体現しており、南後班と連携してTR-SFXによる測定、および久保班と連携して分光実験による結晶中でのヘリオロドプシンのフォトサイクルの分析等、領域内で緊密な連携を図っている。HeRの光受容ダイナミクスを明らかにすることによって、機能についてのより詳細に考察することが可能になる。また、構造変化を配列が大きく異なるBRなどの他ロドプシンと比較することで、微生物型ロドプシン一般の構造変化の共通性や多様性について理解が可能になる。さらに、非古典的なロドプシンであるSzRやRh-PDEの構造と機能を解析することで、ロドプシンの多様性を理解する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
HeRの微結晶を作製し、TR-SFXに最適な結晶を得ることに成功した。この結晶を用いて領域内の久保班と連携して分光解析を行い、HeRのフォトサイクルK→M→Oのうち、結晶中では1 msでM中間体まで進み、O中間体には達しないことを確認した。よって、TR-SFXの目標をM中間体にいたるまでの構造変化に設定した。SACLAを用いてTR-SFX実験を行い、光照射後から16 ns, 100 ns, 1 μs, 10 μs, 100 μs 1 ms, 2 msの7つのtime pointでデータを収集し2.0~2.2オングストローム分解能で構造を決定することに成功した。暗条件との差フーリエマップで、レチナールの異性化や蛋白質の構造変化が観察された。他のロドプシンとは異なり、TM1が構造変化することが明らかになった。 さらに、領域内の片山班と連携して酵素型ロドプシンRh-PDEの結晶構造を解析し論文として報告した。Rh-PDEは、膜貫通領域のC末端にリンカー部位でつながれた酵素ドメインがあり、光依存的な酵素として機能する。我々はRh-PDEの膜貫通領域の構造を決定し、Rh-PDEは8本の膜貫通ヘリックスからなることを構造的に明らかにし、1本多いヘリックスの果たす役割を解明した。さらに、膜貫通領域からリンカー部位を伸ばした構造を決定し、MDシュミレーション、高速AFMのデータを駆使して全長モデルを構築した。 また、久保班の研究協力者の神取教授と共同して、内向きプロトンポンプであるSzRの構造を決定し論文として報告した。SzRは構造的にはHeRよりもBRに近いことを明らかにした。一方、SzRの細胞内側の膜貫通ヘリックスが全体的に短く、特に6番目がヘリックス2週分短かった。こうした特徴によって、SzRはプロトンを細胞内に効率的に放出しやすいこと明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
ヘリオロドプシンのTR-SFXによって得られたデータを解釈し、M中間体の構造やレチナールの異性化からM中間体に至るまでの構造変化の反応機構を解析する。また、予備的な結晶分光データでK→M→O中間体のうちM中間体まで遷移することが分かっているが、データ数が不十分なためデータを取り足し、論文化に十分なデータを取得する。さらに、結晶に連続的な光を照射することで結晶中でもO中間体に遷移することが分かっているため、コールドトラップ法により、結晶に連続的な光を当てた状態で瞬間凍結して、放射光でX線回折データを収集することでO中間体構造の取得に取り組む。構造情報から、構造変化に重要なアミノ酸残基を特定し、変異体の分光解析を行うことで構造変化が起きなくなるか確かめる。こうしたデータを統合して、論文としての出版を目指す。
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Research Products
(2 results)