2020 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌無細胞合成系を利用した時分割SFX実験に適したサンプル調製法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Non-equilibrium-state molecular movies and their applications |
Project/Area Number |
20H05450
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
保坂 俊彰 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 技師 (40462725)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クロライドイオンポンプ / 時分割結晶構造解析 / SACLA / 非天然アミノ酸 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋性細菌Nonlabens marinus由来NM-R 3 (N. marinus rhodopsin-3)は光駆動性クロライドポンプである。光駆動性クロライドポンプの中で最も研究が進展しているハロロドプシン(HR)とは異なる系統から独自に進化し、アミノ酸配列から大きな違いが認められる。申請者は、このNM-R3の構造解析に成功し、HRやバクテリオロドプシンなど他の細菌型ロドプシンとの相違点を明らかとしたが、詳細なイオン輸送機構については未知の部分が残っている。そこで、本研究では、NM-R3のイオン輸送機構の詳細な解明を、時分割構造解析により行うことを目的とした。 X線自由電子レーザー施設SACLAを用いた時分割結晶構造解析により、光照射に伴うNM-R3の構造変化を詳細に捉えることに成功した。この結果からNM-R3が塩化物イオンを輸送するメカニズムと輸送経路を明らかにするとともに、イオンの逆流や過流入を防ぐ巧妙な仕掛けがあることを見いだし、論文発表を行った。 加えて、光反応性のアミノ酸をタンパク質に導入するため、大腸菌無細胞合成系にてcaged-Tyrを導入する系の立ち上げを行った。まず、アミノアシルtRNA合成酵素の改変を行い、caged-Tyrを結合することを構造から明らかとした。次にlysozymeをポジコンとして用い、caged-Tyrがlysozymeに導入され、365 nmの光を照射することでcaged基が外れることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SACLAでの時分割serial femtosecond crystallographyによる構造解析について当初の予定通りに論文報告を行った。 大腸菌無細胞合成系によるタンパク質への光反応性アミノ酸の導入系の確立については、当初の予定通りタンパク質への導入に成功し、実際にcaged基が光によりuncagedされることを、明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Caged-Tyrを導入したタンパク質の調製に成功したので、今後は、酵素反応部位周辺にTyrが存在しているタンパク質に、このcaged-Tyrを導入して、光による酵素反応のコントロールが可能かの検証を行う。ついで、大量調製から微結晶化と進み、最終的にはSACLAでの時分割構造解析に適応可能かの確認を行っていく。
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[Journal Article] Conformational alterations in unidirectional ion transport of a light-driven chloride pump revealed using X-ray free electron lasers2022
Author(s)
Hosaka T, Nomura T, Kubo M, Nakane T, Fangjia L, Sekine S, Ito T, Murayama K, Ihara K, Ehara H, Kashiwagi K, Katsura K, Akasaka R, Hisano T, Tanaka T, Tanaka R, Arima T, Yamashita A, Sugahara M, Naitow H, Matsuura Y, Yoshizawa S, Tono K, Owada S, Nureki O, Kimura-Someya T, Iwata S, Nango E, Shirouzu M
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences
Volume: 119
Pages: e2117433119
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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