2020 Fiscal Year Annual Research Report
超適応の解明に向けた脳状態空間表現の同定と非侵襲脳刺激による操作
Publicly Offered Research
Project Area | Hyper-adaptability for overcoming body-brain dysfunction: Integrated empirical and system theoretical approaches |
Project/Area Number |
20H05464
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
南部 功夫 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (40553235)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 脳波 / グラフィカルモデル / 非侵襲脳刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は超適応の解明に向けた脳状態空間表現の同定と非侵襲脳刺激による操作である。そのため、最初に脳波を用いた全脳レベルでのデータ解析により、脳領域間結合の変化を表現する低次元空間を明らかにすることを目指す。この目的のため、計測された脳活動(脳波)から、行動種類や状態を反映する低次元の脳状態空間の同定を行った。具体的には時間的な脳ネットワークの変化を捉えることができる確率的グラフィカルモデル(Time-varying Graphical Lasso)と多次元尺度法による次元圧縮を用いた手法を開発した。この方法の有効性を検証するため、多変量ガウス分布に従う人工データを生成し、変数間の関係が時間によって変化するようなものを作成し、提案手法を適用した。その結果、100エポック(サンプル)毎に変化する変数間の関係(構造)を2次元空間内で可視化することができた。次に、この手法を実際の脳波データに適用した。今回は検証のため、脳波ブレインコンピューターインターフェース用に公開されているデータセット(BCI competition 2008 Graz A)を使用した。4種類の運動想起課題(左手、右手、足、舌)時の脳波データの時間変化を検出できるか検討を行った結果、脳波から異なる状態の変化を観測できる可能性を示した。脳状態空間の同定については着実に進んでいるため、今後は別のデータセットへの適用や詳細な変化の検出について検討の後、脳刺激による検討を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、脳波を用いた解析手法(低次元化)について、異なる状態の変化を可視化することができるようになっている。本年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け実験があまりできない状況であったが、既存のデータや公開データを用いることで対処した。今後はこの結果を踏まえ、別のデータセットや脳刺激と組み合わせることで脳状態空間の同定を進めていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、現時点で提案した脳波低次元空間の同定方法を別の運動実験データ(運動精度に関する実験等)に適用する。これらを基に手法の検証、改善を進める。また、本領域内の別グループとの連携し、脳波のみならず様々な脳活動データに対して有効な手法の検討を行う。 また、その後、非侵襲脳刺激を用いて、脳状態を変化させた時の低次元空間における振る舞いを調査し、超適応のメカニズム解明に向けた検討を行う。
|