2020 Fiscal Year Annual Research Report
脳刺激やモチベーション操作による障害側身体空間を志向する神経回路の活性化
Publicly Offered Research
Project Area | Hyper-adaptability for overcoming body-brain dysfunction: Integrated empirical and system theoretical approaches |
Project/Area Number |
20H05482
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大須 理英子 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60374112)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 身体空間 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳刺激による神経モジュレーションやVR技術をつかった空間の操作、モチベーションの操作により、障害側の身体空間へのpreference神経回路を顕在化・活性化する手法とメカニズムを明らかにすることを目指している。2020年度は、tDCSによって左後頭頂葉(PPC)の活動に陰極を配置して活動を抑制し、右PPCに陽極を配置して活動を促進することで、左手の選択率が上昇することに加え、反応時間も短縮し、選択に対する負荷が減少していることを明らかにした。これらを論文として発表した。さらに、ターゲットが提示されて手を選択する直前に、左右それぞれの手に短時間の電気刺激を与えることで、手の選択に対する影響を観察した。その結果、手を刺激しない条件と比較して、手を刺激した条件では、刺激した側の手の選択頻度が有意に増加することが観察された。短時間の手への刺激が左右手の選択に関する脳活動に影響したと考えられ、末梢への刺激によって、左右の手へのpreferenceをモジュレーションできる可能性が示唆された。論文投稿に向けて準備中である。また、モチベーション操作に関わる基礎的知見として、脳卒中回復期のリハビリテーションにおけるリハビリテーションに対するモチベーションの構成要素について、患者例への半構造化面接により質的検討を行った。その結果、リハビリテーションにおいては、通常の行動変容で重視される内発的モチベーションではなく、外発的モチベーションへ介入することがより有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、一部の研究について、新型コロナの影響で進捗が滞っているところがある。具体的には、tACSの実験を予定していたが、コロナの影響で納品が遅れ、また、装置の不具合もあったため、研究開始が遅れた。現在、予備実験を開始したところである。また、VR実験についても、装置の納品が遅れたため、現在準備を行っているところである。これらの代わりに実施した末梢神経刺激を利用した実験については、順調に進捗し、preferenceに効果がある結果を得ることができた。また、モチベーションの構成要素についても、論文化することができたため、全体的には、比較的順調に進んだと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、準備を進めているtACSおよびVRを利用した実験について、実施を進めるとともに、末梢神経刺激についての実験結果についての論文化を進める。tACSについては、左の後頭頂葉(PPC)と左右の腹側運動前野(PMd)の連携に注目し、この二つの部位のコネクティビィを促進する場合と阻害する場合で、手の選択にどのように影響が現れるかを検証する。VRについては、手の動きを入力デバイスなしで計測できるシステムを利用して、手の選択課題をVR内で実施できるシステムを構築する。また、ARによって、実空間を右にシフトして提示するシステムの構築を試みる。
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Research Products
(4 results)