2020 Fiscal Year Annual Research Report
Physiological function of zinc dynamics in sperm
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated Biometal Science: Research to Explore Dynamics of Metals in Cellular System |
Project/Area Number |
20H05507
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河合 喬文 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70614915)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 亜鉛 / 精子 |
Outline of Annual Research Achievements |
精子における亜鉛イオンのダイナミクスを明らかにするため、亜鉛感受性プローブFluoZin-3を精子へと導入し、受精能獲得用の専用培地を投与することでその動態を観察した。その結果、受精能獲得培地を投与することで、鞭毛から亜鉛イオンが排出されていく様子が確認された。したがって、亜鉛イオンは受精能獲得のプロセスにおいて何らかの重要な生理機能を担っていることが示唆された。 次に、受精能獲得時の精子運動性における亜鉛シグナルの重要性を検証するため、亜鉛イオンキレーターであるTPENの存在下で精子の運動能が変化するかどうかを観察した。その結果、精子をTPENで処理することによって、受精能獲得後の精子においてのみ、精子の運動性に有意な違いが認められることが明らかとなった。以上の結果から、受精能獲得時における、精子の鞭毛運動について、亜鉛シグナルの重要性が本研究から示唆された。 これまで精子においてはその細胞内に多量の亜鉛イオンが蓄積していることが明らかになっているが、本年度ではその重要性の一端が明らかになったと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで不明であった精子における亜鉛イオンの重要性について、その受精能獲得時におけるダイナミクスを明らかにすることに成功した。また、実際にこれが精子の運動性に寄与することも明らかになったことから、初年度としては精子に占める亜鉛シグナルの生理機能の一端を切り拓くことが出来たと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた知見に基づき、今後は亜鉛イオンが精子の鞭毛に存在する膜輸送体にどのような作用を持つのかについて、その具体的な作用を明らかにしていく予定である。具体的には、イメージング技術ならびに電気生理学的手法を用いることでその検証を行っていく。特にこの検証には、研究代表者が既に精子において確立したカルシウムイメージング技術、ならびにホールセルパッチクランプ法と呼ばれる電気生理学的な検証法を用いる。以上の手法を用いたスクリーニングにより、具体的な亜鉛イオンのターゲットタンパク質を同定する。以上が明らかになったら、その詳細なメカニズムについて発現系細胞を用いた実験系を用い、当該タンパク質について電気生理学的な検証行う。ここでは、細胞内を露出した状態で電気生理学的解析ができる、インサイドアウトパッチクランプ法と呼ばれる手法を用いる予定である。本手法を用いれば、亜鉛イオンを細胞内側から投与することで、その作用を詳細に検証することが可能となる。
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