2020 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチンリガーゼの鉄・亜鉛スイッチングによる植物の鉄感知と制御
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated Biometal Science: Research to Explore Dynamics of Metals in Cellular System |
Project/Area Number |
20H05514
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
小林 高範 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (70590206)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鉄欠乏 / ユビキチンリガーゼ / センサー / イネ / 亜鉛 |
Outline of Annual Research Achievements |
HRZおよびそのユビキチン化基質候補であるbZIP転写因子と2種類のグルタレドキシンのリコンビナントタンパク質を用いてin vitroユビキチン化実験を行った結果、bZIP転写因子およびグルタレドキシンの1種がHRZによりユビキチン化されることを確認した。さらに、HRZの発現を低下させた形質転換イネおよび非形質転換イネの根抽出液を用いて、これらのタンパク質のin vitro分解実験を行った結果、bZIP転写因子およびグルタレドキシンの1種がHRZ依存的、かつ鉄栄養依存的に分解制御を受けることが示唆された。 上記bZIP転写因子とGFPとの融合タンパク質を構成的プロモーターで発現させる形質転換イネを鉄欠乏条件、鉄十分条件で水耕栽培した。根におけるGFP‐bZIPタンパク質の発現は鉄十分条件の方が強く観察され、鉄欠乏依存的な分解が示唆された。 CRISPR/Cas9 法により HRZ の4種の金属結合ドメインに変異を入れたイネを各々作製し、T0世代における遺伝子型の解析を行った。また、T1世代の玄米の金属濃度を測定した結果、双方のアリルに変異が導入された系統の多くが野生型と比較して約2~3倍の鉄と約1.5倍の亜鉛を蓄積していた。代表的な変異系統のT1世代で水耕栽培を行ったところ、全ての系統が鉄欠乏耐性を示した。遺伝子型と表現型の比較により、これらの金属結合ドメインはいずれもHRZの機能に必須であることが示唆された。 HRZのX線結晶構造と、その金属結合状態による変化を解析することを目的として、HRZの全長および部分長について大腸菌発現系および結晶化の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroユビキチン化実験および分解実験については、結果の再現性が確認でき、かつ後者については鉄栄養依存的な分解制御を見いだすことができた。 GFP‐bZIP過剰発現イネにおいても、鉄欠乏依存的な分解を確認できた。 CRISPR/Cas9 法による HRZ のドメイン変異イネについては、順調に作出と解析が進み、明確な結果が得られてきている。 構造解析については、条件検討を着々と進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroユビキチン化実験、分解実験およびプルダウンアッセイについては、HRZ のドメイン欠失・変異タンパク質を用いるとともに、鉄・亜鉛の結合状態による活性変化を順次解析していく。 bZIP転写因子の機能欠損イネをCRES-T法およびCRISPR/Cas9 法で作製し、鉄欠乏応答における役割を調査する。 HRZ のドメイン変異イネについては、遺伝子型表現型の解析、遺伝的に安定した後世代の探索を進めるとともに、残るドメインの変異体作製に着手する。 構造解析については、条件が整い次第、X線構造解析へと進む。
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Research Products
(5 results)