2020 Fiscal Year Annual Research Report
Homeostasis of Early Transition Metals Regulated by Molybdenum Storage Protein
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated Biometal Science: Research to Explore Dynamics of Metals in Cellular System |
Project/Area Number |
20H05517
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
藤枝 伸宇 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00452318)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | モリブデン貯蔵タンパク質 / モリブドプテリン / ニトロゲナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
前周期遷移金属の内、モリブデンMo, タングステンW, バナジウムVは酵素活性中心として様々な機能を司っており、その生体内動態の詳細解明が望まれている。このような背景の下、Mo, W, Vは水中でオキソ酸として存在するため、硫酸やリン酸と類似の代謝経路が深く研究されてきた。しかし、典型元素のオキソ酸と異なり、輸送タンパク質のアミノ酸残基による直接配位やポリオキソメタレート(POM)の形成など性質の異なる点も多い。そこで、我々はオキソ酸認識だけでなく、配位化学に加えて前周期遷移金属に特徴的なPOM形成という新奇な生物無機化学的観点から分子機構を解明することで、互いに性質の類似したMo, Wについての生命金属動態にアプローチできると考えた。窒素固定細菌由来Mostoはアルファ、ベータサブユニットから成るヘテロ六量体構造をとっている。すでに、大腸菌での異種発現が報告されているものの、5種類のシャペロンタンパク質との共発現、3段階クロマトグラフィーが必要であるなど、未だ調製方法が煩雑である。そこで、第1段階として分子論的な解析の進捗向上を目指し、より簡便な大量調整法の構築を目指した。プラスミドのマルチクローニングサイトにmosB遺伝子とmosA遺伝子を挿入したプラスミドを設計し、プラスミドをPCRで増幅後、合成した2つのDNA断片をSLICE法にてクローニングした。このプラスミドを大腸菌に形質転換し、IPTGによってタンパク質を発現させた。この大腸菌の破砕液をSDS-PAGEで分析した結果、誘導に伴って現れる2つのバンドが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Mostoにタグ配列を導入し、アフィニティークロマトグラフィーを用いてMostoを精製後、SDS-PAGEで確認した。アルファサブユニット、ベータサブユニットのバンドがそれぞれ観察され、単離できていることが分かった。また、アルファサブユニット、ベータサブユニットのバンドを解析すると、2つのバンドはほぼ同等となっており、ゲルろ過クロマトグラフィーでは一つのピークを示したことから、アルファサブユニット、ベータサブユニットが当モルで結合していることが示唆された。また、精製したMostoの金属含量をICP-AESにて測定したところ、Moが結合している可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は発現精製したMostoの生化学的特性評価をすすめるとともにゲノムマイニングを行い新規なMostoの発現系構築、生化学的特性評価をあわせて行っていく。すでにスクリーニング用の遺伝子を選抜するため、ベータサブユニットのアミノ酸配列を用いて、NCBI・EMBLデータベースで相同性検索を行っており、ファーミキューテス、放線菌、プロテオバクテリアだけでなくアーキアなど幅広い微生物がもつ1000以上の遺伝子が30%以上の相同性を示し、ほぼ同等の残基数であることを確認している。
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Research Products
(4 results)