2020 Fiscal Year Annual Research Report
The relationship between iron homeostasis and pathogenesis
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated Biometal Science: Research to Explore Dynamics of Metals in Cellular System |
Project/Area Number |
20H05519
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
木下 善仁 近畿大学, 理工学部, 講師 (20634398)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鉄 / ミトコンドリア / ヘム / 鉄硫黄クラスター / ミトコンドリア病 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリア内の生命金属のメインは鉄、銅、亜鉛等であるが、その中でも鉄は最も重要な役割を担い、ミトコンドリア呼吸鎖複合体の働きには欠かすことができない。ヘムと鉄硫黄クラスターはミトコンドリアを中心として合成され、それらは直接ミトコンドリア呼吸鎖の構成成分となる。ミトコンドリア鉄代謝異常は呼吸鎖複合体機能を障害し、ミトコンドリア病を引き起こすことが明らかになっている。代表者らの研究グループではミトコンドリア病患者を対象とした、大規模かつ包括的なゲノム解析により、ミトコンドリア内の鉄硫黄クラスター形成に関わる遺伝子やヘム合成に関わる遺伝子をそれぞれ複数同定している。しかし、疾患発表における鉄硫黄クラスターとヘムの相互関係は明らかでない。そこで本研究ではミトコンドリアにおける鉄硫黄クラスターおよびヘムのホメオスタシスの異常が疾患を起こす分子メカニズムを詳細に解析する。これまでのゲノム解析研究から、ミトコンドリア内の鉄硫黄クラスター形成に関わる遺伝子やヘム合成に関わる遺伝子をそれぞれ同定したが、特にBOLA3 とCOX10の遺伝子異常が複数の症例でみつかっており、BOLA3 に至っては7 症例に及んでいる。そうしたことから、BOLA3 とCOX10 に関してCRISPR/Cas9システムを用いてノックアウト細胞を作製し、鉄関連遺伝子の発現解析や鉄量変化を解析した。さらに新規のミトコンドリア鉄関連遺伝子を疾患患者から同定し、これらについてもノックアウト細胞を作成して、鉄関連遺伝子の発現解析や鉄量変化を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鉄硫黄クラスター形成に関わる遺伝子であるBOLA3 とヘム合成に関わる遺伝子であるCOX10 を対象に、CRISPR/Cas9システムを用いてノックアウト細胞を作製し、鉄関連遺伝子の遺伝子発現や鉄量変化を解析した。新規にミトコンドリア鉄関連遺伝子を疾患患者から同定し、これらについてもノックアウト細胞を作成して、鉄関連遺伝子の遺伝子発現や鉄量変化を解析した。鉄が関与するミトコンドリア病の疾患原因遺伝子について論文報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
BOLA3 とCOX10 のノックアウト細胞を対象にして、ゲノムワイドな遺伝子発現解析を実施し、鉄ホメオスタシスの異常がどのような遺伝子発現応答を生じているかを明らかにする。また、これらの細胞のヘムの定量を行うことで細胞内の鉄動態をより詳細に解析する。上記の解析等から得られたデータをもとに、鉄硫黄クラスターおよびヘムがお互いにどのように影響を及ぼしあっているかを統合的に解釈する。また、ミトコンドリア病に関連するミトコンドリア鉄関連遺伝子についてさらなる解析を進め、遺伝子異常の病原性を明らかにする。上記の研究に関して、最終的に論文報告へとつなげる。
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Research Products
(8 results)