2020 Fiscal Year Annual Research Report
変異ES細胞を用いた分化状態と未分化状態の遷移制御機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Information physics of living matters |
Project/Area Number |
20H05541
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
吉田 純子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30769196)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分化異常 / ライブセルイメージング / 順遺伝学 / 遺伝子制御ネットワーク解析 / 分化抵抗性 / ES細胞 / ゲノム三次元構造解析 / 1細胞RNA-seq解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、未分化なES細胞がどのようにして分化状態へと遷移していくのかを、情報数理学的に解析する。方法としては、分化刺激を与えれば100%の細胞が分化する野生型ES細胞と、分化刺激を与えても未分化状態の細胞が出現し続ける変異型ES細胞の振る舞いをライブセルイメージングによって定量・比較し、数理モデルを構築することで、正常のES細胞がどのように未分化状態から分化状態へと遷移していくのかを理解する。また、野生型ES細胞と変異型ES細胞の分化誘導前と分化誘導後の1細胞RNA-seqを行い、trajectory解析を行うことで、最終的に野生型ES細胞と変異型ES細胞のそれぞれの背後にある遺伝子制御ネットワークの同定を目指す。 令和2年度は、まず遺伝子発現制御ネットワーク同定を目指し、1細胞RNA-seqを行った。現在、情報解析を行っている最中であるが、野生型は未分化状態から分化状態への軌跡が描けるのに対し、変異型では中途段階で軌跡が止まるという、実験と同様の結果がRNA-seqの結果からも表出してきている。 ライブセルイメージングに関しては、長期イメージングを行うための撮影条件検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、1細胞RNA-seqの情報解析に注力した。遺伝子発現制御の基盤となるゲノム三次元構造の解析も必要と考え、Micro-C解析を行ったが、そのサンプル作製と情報解析に予想以上の時間を要した。そのため、当初の計画では、令和2年度にライブセルイメージング解析を予定していたが、これらについては、条件検討の範囲に止まっている。ライブセルイメージング用の顕微鏡に関しては、同じ新学術内の共同研究者よりご支援をいただく予定にしていたが、コロナ渦のため、共同研究者の所属している施設に行くことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は1細胞RNA-seqにより、背後にある遺伝子制御ネットワークを同定したいと考えている。そして、ネットワークの鍵となる遺伝子を抽出し、その遺伝子にノックインを行い、ライブセルイメージングを行う予定である。 Micro-C解析についても、引き続き、サンプル作製と情報解析をすすめていきたい。
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