2020 Fiscal Year Annual Research Report
Genome information physics based on microrheology of the 3D genome organization
Publicly Offered Research
Project Area | Information physics of living matters |
Project/Area Number |
20H05550
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
新海 創也 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (60547058)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゲノム構造 / ゲノム動態 / クロマチン / 高分子モデリング / レオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノムDNAは、細胞核内の微小環境において熱ゆらぎに駆動されたゆらぐ世界を舞台に、その動態と構造の制御に応じて適切に機能している。本研究は、遺伝情報としてのゲノム発動メカニズムがゲノムDNA自身の物理的状態とどのような関係にあるか明らかにすることを目指している。そして、ゲノム上の動的レオロジカル情報とエピゲノム情報の両者の包括的解析を可能にするゲノム情報物理学の確立を目指す。 これまで我々は、近年急速に発展してきているゲノム3次元構造解析手法であるHi-C法に対して、高分子物理に基づいてデータ解読する理論と解析シミュレーション手法「PHi-C法」を開発してきた。本研究で我々は、高分子ダイナミクスと構造の間をつなぐレオロジー特性に着目して、PHi-C法の発展を試みた。 まず、マイクロレオロジーの基本関係式を援用することで、Hi-Cデータに潜在する動的レオロジー特性を抽出する解析方法を確立した。これにより、染色体上に実現されるゲノムの動的レオロジー特性を明らかになり、ゲノムの流動性としての柔らかさ・硬さという新しい考え方を創出された。そしてTADと呼ばれる数Mbサイズのゲノム構造ユニットの境界部が内部に比べてレオロジー的に「硬い」状態にあることが明らかになった。さらに、クロマチンロープ構造形成に重要なタンパク質が欠損した場合のHi-Cデータを解析した結果、ループ形成や維持の変化によって局所ゲノムドメイン組織化の再編成したときのゲノムレオロジー特性の変化の分子生物学的理解が可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、PHi-C法のレオロジーの観点からの拡張と応用が可能な理論と計算手法を確立することができた。また、研究成果を論文発表することができた[Shinkai et al. Computational and Structural Biotechnology Journal, 2020]。
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Strategy for Future Research Activity |
計画時にすでに、マウスES細胞の神経細胞分化過程のHi-Cデータの解析を通して、A/Bコンパートメントの分離過程をシミュレーションおよびレオロジー解析できるようになっていた。しかしながら、その分子生物学的観点から具体的な解析ができていなかった。これは核内相分離現象とも関係するので、レオロジー解析手法の適用や、新規Hi-Cデータ解析手法を開発する必要がある。 計画において、エピゲノムデータである各種ChIP-seqデータとの網羅的データ解析を予定している。計画当初は比較的ゲノムサイズが小さいハエのデータを利用しようと考えていたが、データベース上のデータ数や質がマウスやヒトに比べて劣る。そのため、マウスやヒトにおけるエピゲノムデータとの網羅的バイオインフォマティクス解析を行う。
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Research Products
(3 results)