2020 Fiscal Year Annual Research Report
看護師の行動を規範とした高齢者向けアテンション維持ロボットの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Studies on intelligent systems for dialogue toward the human-machine symbiotic society |
Project/Area Number |
20H05554
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
野口 博史 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (50431797)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コミュニケーションロボット / 傾聴機能 / 動作解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では,認知的な問題や心理的問題を抱える高齢者においてケアタスクが集中する状況に対して,タスクの集中を避けるため,他の重要なケアを行っている間に,ロボットが会話をすることにより注意を引き続けることが可能なロボット(アテンション維持ロボット)を開発することが目的である.そのアテンション維持のための要素として,看護師の動作を規範とした挨拶動作の生成と,傾聴機能の実現を目指している. 本年度は挨拶動作の実現として,健常者においても,高齢者向けの挨拶動作と健常者向けの挨拶動作でも異なると予想されることから,その高齢者向けの挨拶動作の実装により注意を引く動作の生成が可能になると考えた.そこで,健常者数名において,光学式モーションキャプチャを用いて,高齢者向けと健常者向けの挨拶動作を計測し,その特徴を統計的に比較することによる特徴的な動作抽出を行った.高齢者向けの動作では声掛けを行うタイミングが動作を始めるよりも遅く,また,腰をより曲げていることなどがわかった. また,傾聴機能の実現として,高齢者の好む会話などを会話内容自体は適宜選択したい状況が多いことから,既存ロボットで用いられるルールべースの音声対話のベースを残しながら,発話者の発言が続いている状態をターンテイキング予測で推定することで,ロボット側が割り込まないあるいは途中で止めるなどの機能を実装した.加えて,音声認識の成功などで相槌応答するなどの機能も構築し,音声対話するプロトタイプシステムを構築した.実際の機能有無で健常者での比較実験を行い,有意差はないがすべての機能を持つものが最も良い傾向を示すことを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,アテンション維持ロボットの要素となる,注意を引くための挨拶動作の特徴抽出,ならびに,注意を引き続けるのに重要である傾聴機能について,既存ルールベース対話をもとにしつつ,音声認識の問題をターンテイキング予測機により解決する手法を開発した.当初は,看護師の動作を規範とすることを考えていたが,コロナ禍によりリクルートがむずかしいと判断し,健常者で実験を行ったが,有意となる特徴も抽出できており,特徴的な動作検出については,予定通り進んでいると考えている.また,本年度は,高齢者向け対話トピックの収集なども行う予定であったが,トピックを充実させることによる会話内容の充実よりも,ターンテイキング予測による会話破綻を避けた対話システム開発に注力した.大きな柱として考えていた挨拶動作ならびに傾聴機能にかかる要素については,順調に進んでおり,以上のことから,当初との予定とは少し異なる部分もあるももの,研究計画全体としては,概ね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,昨年度に引き続き,開発しているロボット要素技術についての詳細をつめつつ,最終的なアテンション維持ロボットの開発に向けた研究を行う.具体的には抽出できた注意を引く挨拶動作の実装を行うとともに心象についての実験を行う.また,傾聴機能についても,計画班で開発中のターテイキング予測機の利用による会話継続機能の拡張についての方法論を開発する.加えて,現在,限定的である会話トピックについて,拡充させるための作業も行う.それらの機能拡張を行なった後に,健常者等で対話継続に関して,限定機な会話セットを用いて確認する作業を行う.上記の機能確認後,それぞれの機能を統合して,既存コミュニケーションロボットへ搭載し機能確認を改めて行う.そのロボットをもとに臨床にも詳しい看護研究者とともにそれらの機能確認を行う.その後に,対面による確認実験などを行う.また,難しい場合にはオンラインでの実験方法などについても検討する.
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Research Products
(2 results)