2020 Fiscal Year Annual Research Report
チャンネル権と内発的動機を持つテレビ共視ロボットによる対話知能の実現
Publicly Offered Research
Project Area | Studies on intelligent systems for dialogue toward the human-machine symbiotic society |
Project/Area Number |
20H05564
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡 夏樹 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 教授 (20362585)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 選好形成 / 予測学習 / 教師付き学習 / 強化学習 / 社会的受容性 / 対話システム |
Outline of Annual Research Achievements |
音楽選択権と内発的動機を持つ音楽共同聴取ロボットの実現に向けて以下の研究開発を行った。 1)音楽の選好形成システムの試作:音楽を繰り返し聴くと好きになるという知見に基づき、選好を予測誤差の小ささで表現する着想を得た。『予測誤差は、「繰り返し聴いた曲<似た曲<似てない曲」となる』という仮説を立て、生の音響信号をVQ-VAEでコード化しそれをTransformerで予測学習し、予測誤差を調べる実験を行った。その結果、過学習させると仮説が成立する傾向はあるものの、曲固有の予測しやすさ(おそらく複雑さが関係)の影響もあることが分かった。 2)発話選択の学習システムの試作:発話選択履歴からの教師付き学習と、相手の発話の韻律を状態・報酬として用いた強化学習を併用するシステムを試作した。市販の子ども向けの発話選択式対話システムを用いて収集した対話データを用いて教師付き学習した場合の発話選択結果と、同じデータから強化学習した場合の発話選択結果を比較することにより、教師データの適切さや、状態推定、報酬推定の適切さを評価した。 3)AIエージェントが責任を取ることの社会的受容性の調査:AIエージェントが責任を取ることが社会的に受容されるなら、安心してAI技術の開発・販売・運用をすることができるため、技術の発展・普及につながり、社会にとってメリットが大きいと考えた。このため、4つの場面を想定したアンケートにより、AIエージェントが責任を取るという考え方の社会的受容性を調べた。その結果、AIエージェントが責任を取れるようにすることの意義や根拠を説明すれば、運営企業やAI開発企業への責任帰属ほど多くはないが、AI自体にも責任があると答える人がそれなりに存在する(AI自体への責任帰属を理解してもらえる)ことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
必要な要素技術のうちの、音楽の選好形成技術、および、発話選択の学習技術について、試作と評価の実施を終え、解決すべき課題が明確になり、研究期間中に達成できる見通しがある程度立ったため。また、その他の要素技術(好奇心駆動インタラクションや交渉型対話技術)についても、関連研究の調査が完了し、基本的な研究開発構想も策定済みである。また、次年度、研究開発を担当する学生を増員するが、誰が何を担当するかも含めて決定済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
音楽の選好形成技術、および、発話選択の学習技術については、解決すべき課題が明確になっているため、その解決に注力する。また、内発的動機のうち、特に、好奇心に注目し、「好奇心駆動インタラクション」の研究を進める計画を立案済みであり、この計画に沿って、研究を推進する。交渉型対話技術についてもシステム開発に着手できるところまで進んでいるため、計画通り研究開発を進める。 これらの技術は、本年度第4四半期において、ユーザ評価(実証実験)を実施することにより、ユーザ使用場面での評価を行う。
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