2020 Fiscal Year Annual Research Report
あえて非論理的な発話を行うことによる対話継続の試み
Publicly Offered Research
Project Area | Studies on intelligent systems for dialogue toward the human-machine symbiotic society |
Project/Area Number |
20H05571
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
松井 哲也 成蹊大学, 理工学部, 助教 (10751737)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒューマンエージェントインタラクション / ヒューマンロボットインタラクション / 対話ロボット / 対話エージェント / 信頼工学 / 説得工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画の内容に基本的に沿う形で、媒介項を明示した発話を行うバーチャルエージェント・媒介項を明示しない発話を行うバーチャルエージェントの、どちらがよりユーザの信頼感や対話継続意思を高めることができるかを検証する実験を行った。その結果、媒介項を明示しない発話を行うバーチャルエージェントのほうが、ユーザの信頼感や対話継続意思を高めることができることを確認した。この結果により、計画当初より我々が立てていた仮説が有効であることが示されたため、今後は有効な「媒介項を明示しない発話」を探索的に調べた後、それを自動生成するシステムの開発を目指して研究を進める。 また、個物とカテゴリーを混同する心理的傾向と、対話ロボット・バーチャルエージェントとの対話継続意思との関連に着目した実験も行った。この実験では、社会心理学における先行研究を参考として、参加者に記憶力に関するタスクを行ってもらい、その結果によって個物とカテゴリーを混同する傾向にある群・混同しない傾向にある群に分けた。その後、ロボットがタスクをミスする動画を見せて、このロボットに対する信頼感・使用継続意思について尋ね、2群間で比較した。その結果、混同する群は混同しない群よりも、有意にロボットへの信頼感・使用継続意思が下がることが示された。 この結果は、個物からカテゴリーへの汎化といった非合理的な心理的作用が、対話ロボット・エージェントとの関係構築において大きな影響を与えることを示すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画で予定していた内容のうち、実験による仮説の検証については本年度に達成することができた。また、当初実施計画書に記載していなかった新たな仮説を立て、検証することにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の2つの方針を平行して実施する。 一つ目は、「媒介項を明示しない発話」の有効性が実験で確認できたのを受け、そのような発話を文脈に応じて自動生成できるシステムを開発し、評価実験を行うことである。 二つ目は、新たに着目した「カテゴリーと個物を混同する傾向が、対話システムとの対話継続に与える影響」について、追加の実験を実施して、一つのモデルとして確立させて提案することである。
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Research Products
(4 results)