2020 Fiscal Year Annual Research Report
アメーバをめぐるポストコッホ微生物生態学
Publicly Offered Research
Project Area | Post-Koch Ecology: The next-era microbial ecology that elucidates the super-terrestrial organism system |
Project/Area Number |
20H05585
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
永井 宏樹 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80222173)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 寄生 / 共生 / アカントアメーバ |
Outline of Annual Research Achievements |
並行して行っていたアカントアメーバとの共培養による新規寄生・共生微生物・ウイルスのスクリーニングにおいて、混入してくる既存細菌を抑制する抗菌薬を使用しないと優勢に増殖する一部細菌のみがスクリーンされてくることになる。この事態を避けることにより、より広範な微生物を候補として得るため、使用する抗菌薬の種類および使用タイミングなどの条件検討を行った。一過性にせよアカントアメーバ内に侵入する微生物を対象とすることにし、宿主細胞膜を透過しない複数の抗菌薬を使用することとした。さらに、4回以上行っている共培養サイクルの初回にのみ、共培養開始後一定時間のみ作用させるという条件で、一般土壌・淡水サンプルではスクリーニングが成立した。この一方で、領域内共同研究として分与を受けた圃場土壌など、微生物が豊富なサンプルの場合、抗菌薬に加えて、ポストコッホ微生物の物理的サイズが一般細菌等と比べて概して小さいことを利用したフィルター濾過を利用する必要が認められた。
並行研究において、これまでに得られた候補微生物約150についてPCRによる同定を完了した。その9割弱は細菌であり、ほとんどがプロテオバクテリア門細菌と一部バクテロイデス門細菌で占められていた。この結果は土壌・淡水環境中の細菌叢を構成する細菌として、これまでの知見に矛盾しない。例外として、2種の放線菌門細菌を見出した。これらはSSU rRNAの解析において既知の細菌との相同性が95%を下回っていたことから、ドラフトゲノムの決定を行った。放線菌門に保存されているタンパク質のアミノ酸配列を用いて、最尤法による系統解析を行ったところ、アシディミクロビウム綱に属する新種の細菌であると考えられた。今後、コンプリートゲノムの決定を目指すとともに、新種の細菌として記載を目指し必要な解析を領域内共同研究として進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍による影響はあるものの、新種の、まさに固形培地では培養できないポストコッホ細菌を同定したなど、研究はほぼ順調に進捗していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
領域内共同研究として分与を受けた圃場土壌のスクリーニングを行うとともに、新種のポストコッホ細菌については、文献記載を目指し必要な解析を領域内共同研究として行いたい。
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Research Products
(2 results)