2020 Fiscal Year Annual Research Report
ロングリードメタゲノム解析による植物共生微生物叢のポストコッホ的理解
Publicly Offered Research
Project Area | Post-Koch Ecology: The next-era microbial ecology that elucidates the super-terrestrial organism system |
Project/Area Number |
20H05592
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
増田 幸子 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (50773347)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 植物共生微生物 / ロングリードメタゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
植物と共生する微生物は宿主の生育に重要であるにも関わらず、その種類や機能の多くは未解明である。本研究では、これらの問題を解決するために、最先端技術であるロングリードシークエンサーを用いたメタゲノム解析を行い、植物共生微生物叢の全ゲノム配列を明らかにすることを目的とする。これまでに、植物共生微生物叢の植物細胞からの分離や分解されていない長鎖DNAの抽出などの実験的手法、アセンブリなどの解析手法を確立した。アセンブリの結果、得られた16S rRNA遺伝子の約60%がデータベースとは異なる配列であることを明らかにしている。また、多数の1Mbp以上の大きなコンティグや環状化したコンティグなどが得られている。1Mbp以上のコンティグのうち6つは環状化しており、これらは完全長の染色体・メガプラスミドと推定される。また、その他にも、断片化はしているが難培養性細菌由来と思われる配列、既知の配列と比較して相同性が低い配列を持つコンティグも複数得られている。その他の環状化したコンティグのなかには、難培養性細菌の完全長ゲノム配列、プラスミド ・ファージと推定される新規配列、データベースには全く存在しない新規の配列など、ダークマターと呼ばれる細菌のゲノム配列を様々に明らかにしている。 また、自然環境中から単離した多種多様な植物共生微生物のゲノム解析も積極的に行い、微生物の機能や生態を理解するための情報基盤の構築を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では、当初の計画通り、植物からの微生物の単離・DNAの抽出などの実験的操作手法、アセンブリなどの解析手法を確立した。また、得られた多数のゲノム情報から、多数の環状化したコンティグや新規の配列を得るなど、解析手法を発展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
多数の難培養性細菌や未知の配列を持つ細菌のゲノム情報が得られた。今後はゲノム情報をもとに単離・培養を試みる。
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Research Products
(2 results)