2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of methods for isolation of uncultured microorganisms by artificial introduction of functional genes
Publicly Offered Research
Project Area | Post-Koch Ecology: The next-era microbial ecology that elucidates the super-terrestrial organism system |
Project/Area Number |
20H05594
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 創一郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30597787)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 微生物 / 難培養 / 単離 / 遺伝子導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で目指している未知微生物への人為的な機能遺伝子の導入による可培養化技術の構築に向け、2020年度には以下2項目の研究開発を実施した。①活性酸素感受性菌への遺伝子導入による可培養化技術の実証:寒天培地中の活性酸素濃度を変えた条件で微生物の分離培養を試み、目(order)レベルで新規な微生物を含む活性酸素感受性菌を複数得ることができた。それらの単離株は寒天培地作製の過程で発生するレベルの活性酸素に感受性であり、通常通りに作成した寒天培地上での増殖がみられなかった。それら単離株についてエレクトロポレーション法、接合伝達法、トランスポソーム法などの遺伝子導入法を検討し、一部の株について安定に遺伝子導入ができる系を構築した。感受性株に大腸菌由来の抗酸化酵素を導入することで、培地調整時に発生する活性酸素に対する抵抗性を付与可能であることを実証した。②分離例が非常に少ない希少系統群微生物に対する遺伝子導入法の構築:希少系統群微生物としてVerrucomicrobia門を選択し、既知単離株9株を使用し遺伝子導入法を検討した。様々な遺伝子導入法や複数の広宿主域プラスミドを検討したものの安定に機能するものは得られなかったが、トランスポソームを用いた手法により一部の菌種にはゲノムへの外来遺伝子導入が可能であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度には当初目的としていた①活性酸素感受性菌への遺伝子導入による可培養化技術の実証、②分離例が非常に少ない希少系統群微生物に対する遺伝子導入法の構築について一定以上の成果をあげることができ、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度には、前年度までに得られた技術を活用し、以下の研究を実施する。 A. 非標的型分離培養:土壌、水圏、排水処理活性汚泥などの多様な微生物が生息する環境を使用し、その場に存在するすべての微生物を対象とした遺伝子導入・機能付与を試みる。酸化ストレス耐性遺伝子などの導入により、分離培養効率の全体的な向上、および系統的に新規性の高い微生物の分離培養を目指す。 B. 標的型分離培養:菌叢解析によりその環境での優占が確認されていながら分離培養がなされていない未培養系統群(カイメン共生菌など)を設定し、その系統群に特異的な遺伝子ベクターを使用し遺伝子導入・機能付加を試みる。上記のストレス耐性遺伝子に加え、対象微生物のメタゲノム解析データから推察される欠失遺伝子、対象微生物のみを増殖させることが可能な抗生物質耐性遺伝子などの導入により、対象とする未培養系統群微生物の分離培養を試みる。
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Research Products
(1 results)