2009 Fiscal Year Annual Research Report
意思決定に関わる脳神経機構の解明-セロトニンの役割-
Publicly Offered Research
Project Area | Experimental Social Sciences: Toward Experimentally-based New Social Sciences for the 21st Century |
Project/Area Number |
21012001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辛島 彰洋 Tohoku University, 大学院・情報科学研究科, 助教 (40374988)
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Keywords | 扁桃体 / θ波 / 意思決定 / セロトニン |
Research Abstract |
セロトニンが意思決定を調節する重要な神経伝達物質の一つであることがヒト・動物を対象とした実験で明らかとなってきている。本研究は、動物実験において、セロトニンが意思決定をどのように調節しているかを調べることにより、意思決定にかかわる脳神経機構を明らかにすることが目的である。特に、意思決定に重要な役割を果たしている扁桃体をセロトニンがどのように制御するのか解明することを目指している。 本研究の初年度である平成21年度は、この研究の基礎として、扁桃体の神経活動を記録するシステムを開発し、無麻酔無拘束下の動物から扁桃体活動を記録した。神経活動の記録は、覚醒時だけではなく睡眠時にも行った。扁桃体と密接に神経結合し、一部の機能を共有している海馬の神経活動も同時に計測し、扁桃体活動と海馬活動の時間関係を調べた。その結果、扁桃体θ波が嫌悪な情動が発現した時だけでなくレム睡眠期にも発生していること、レム睡眠期のθ波が海馬θ波と高い確率で同期していることを確認した。さらに、2つ部位の活動を同期させるメカニズムを明らかにするために、海馬と扁桃体両方にdirect/indirectな興奮性投射をしている橋の青斑下核を破壊し、両θ波への影響を調べた。その結果、破壊によって両部位のθ波の周波数が減少することやθ波間の同期性が弱まることを見出した。以上の結果は、情動記憶の定着や想起のメカニズムの解明につながるものであり、Journal of Neurophysiology誌に掲載されることになった(現在印刷中)。今後は、この計測システムを利用して、意思決定時の扁桃体神経活動の計測に挑戦する。
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