2009 Fiscal Year Annual Research Report
動機付け行動における効用関数の推定とその脳内モデル
Publicly Offered Research
Project Area | Experimental Social Sciences: Toward Experimentally-based New Social Sciences for the 21st Century |
Project/Area Number |
21012005
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
南本 敬史 National Institute of Radiological Sciences, 分子イメージング研究センター, 主任研究員 (50506813)
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Keywords | 動機づけ / 報酬 / 数理モデル / 意思決定 |
Research Abstract |
効用関数(あるいは価値関数)は主体の価値観を定量的に表現するための数理モデルである。これまでの社会科学、心理学、行動科学の研究において、この効用関数の推定は選択行動を用いた実験によって行われてきたが、これで定量できるのは主体の"選好"のみであり、主体の欲求といった内的状態の変化を定量することはできない。つまり、選択肢のない一定の行動を実行する/しないの意思決定、つまり動機付け行動の定量化・モデル化につながるかどうかの実験的/理論的証明がなされていない。近年、申請者が開発した行動課題により、サルの動機付け行動を定量し、それが報酬量などの外部条件と動物の内部状態によってモデル化できることを明らかにした。これに従えば、効用関数を動機付け行動に応用することが可能となる。本研究は、誘因と動因に基づいて動機付けを動的に制御する神経メカニズムを統合的に理解することを目標とする。本年度はPETを用いたactivation studyを行い、動因が高い状態において、前頭眼窩野と腹側線条体に有為な血流の増加が認められた。この結果から、これら2領野において、動因に基づいた動機漬けレベルの計算、つまり効用関数の表現がなされている可能性を示唆する。
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