Research Abstract |
本研究では,形状知覚の皮質メカニズムを計算論的に理解し,これを実画像に適応できる画像理解アルゴリズムとして提案することを目的とした。 本年度は,まず,輪郭に沿った図方向細胞モデルが発火同期によって群化・統合する過程を計算論的に理解し,面が形成され,表現されるモデルを構成した。具体的には,物体周囲・領域検出モデルを基に,生理学的に忠実なプラットフォーム・モデルを構築した。このモデルは,次の生理学的データに立脚した:(1)空間的注意によってV1細胞が変調される。(2)特徴に基づいた注意によってV2図方向細胞が変調される。次に,このモデルが注意による図方向の変調を実現するかどうかを検討した。そのために,次の心理物理実験を行って,注意による変調を定量的に明らかにした。 空間的に何処に注意を向けるかによって,どれだけ図(物体領域)知覚が変化するかを定量的に明らかにするために,心理物理実験をおこなった。特に,局所手掛り(閉合性・凸性等のGestalt因子)と,大域的手掛り(注意)が相反する場合について注目した。具体的には,多様な局所情報を内在するランダム・ブロック刺激と,自然画像の一部分(視野角約15°の範囲)を呈示して,被験者が図方向判断に要す反応時間を測定した。また,注意位置を変化させて,知覚される図を判断させ,注意による判断と反応時間の変調程度を測定した。実験結果から多重回帰分析によって刺激パラメーターと注意変調の関係を明らかにした。
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