2009 Fiscal Year Annual Research Report
海洋表層マッピングによる親潮域の鉄供給過程の評価
Publicly Offered Research
Project Area | Linkages in biogeochemical cycles between surface ocean and lower atmosphere |
Project/Area Number |
21014001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西岡 純 Hokkaido University, 低温科学研究所, 准教授 (90371533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小埜 恒夫 独)水産総合研究センター, 北海道区水産研究所, 室長 (40371786)
的場 澄人 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (30391163)
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Keywords | 鉄 / マッピング / エアロゾル / 生物生産 / 大気海洋相互作用 |
Research Abstract |
H21年度は、東京大学海洋研究所白鳳丸KHO9-4次航海および北海道大学水産学部おしょろ丸北洋航海で夏季の北太平洋亜寒帯において、また同おしょろ丸による冬季の親潮域において、曳航体を用いた海洋表層鉄濃度のマッピングを実施した。さらにこのマッピングデータに加えて、これまでに得られている西部北太平洋亜寒帯域の鉄濃度の時系列データ統合的に解析した。マッピングのサンプルの一部は現在分析中であるが、これまでのところ、夏季の北太平洋亜寒帯域には、鉄濃度が極低濃度の海域が広範囲に渡って広がっていることが確認された。一方で冬季の親潮海域では、水塊毎に表層の鉄濃度の分布が変化していることから、冬季に起こる水塊毎の混合過程のプロセスによって中層の鉄分が表面に供給されていることが、2008年の観測に引き続いて再度確認された。このように冬季の海洋の物理的プロセスで供給される海洋内部由来の鉄分は、親潮域の春季の生物生産を支えている可能性が高いと考えられた。 大気エアロゾルについてもH21年度に引き続き、釧路のサイトで観測を実施した。大気ダストトラップ内のダスト粒子に含まれる鉄濃度を分析し、鉄の総沈着量の季節的変動を調べたところ、観測期間中の明確な季節的な変動傾向は見られなかった。 今後、海洋内部からと大気ダストからの鉄供給の両者を定量的に比較し、生物生産活動に与えるそれぞれの影響を整理し、毎年恒常的に起こる春季植物プランクトンブルームや、突発的にイベントとして起こる植物プランクトンブルームを支える鉄供給過程を明らかにしていく。
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Research Products
(5 results)