2010 Fiscal Year Annual Research Report
西部北太平洋における懸濁粒子の凝集・沈降特性の変動機構
Publicly Offered Research
Project Area | Linkages in biogeochemical cycles between surface ocean and lower atmosphere |
Project/Area Number |
21014007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 秀樹 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (30451892)
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Keywords | 生物ポンプ / 沈降粒子 / 懸濁粒子 / 沈降フラックス / フラクタル次元 / 北太平洋 |
Research Abstract |
本研究は海洋における物質循環を駆動する「生物ポンプ」の中心部分となる有機物の凝集・沈降速度を予見する数理モデルに不可欠なパラメーターである粒子の表面の粘着性および粒子の固体部分の比重の変動を支配する要因の解明を通じて地球環境の変化に対するこれらの応答を予見するモデルの構築を目的としている。これらは野外での観測並びに疑似現場実験から進められ、海域毎の特性を考慮した大気組成動態・気体交換変動・海洋生態系動態の統合モデルの高精度化に寄与するものである。 本年度は昨年度に引き続き、外洋域における研究航海でのデータの集積ならびに培養実験を行った。学術調査船「白鳳丸」KH10-1次航海(西部北太平洋亜熱帯海域 平成22年4-5月)および海洋地球研究船「みらい」MR10-01次航海(西部北太平洋亜寒帯および亜熱帯海域 平成22年10月-11月)において観測的研究を行い、海洋表層部に懸濁する粒子のサイズ分布の鉛直プロファイルならびに粒子の有効密度のサイズ依存性に関するデータを収集した。これらのデータ並びに前年度の観測で得られたデータを解析した結果、懸濁粒子の有効密度は同じサイズの粒子であっても海域毎に数倍から10倍程度の幅をもって異なることが明らかとなった。この有効密度における変動は沈降粒子中の有機炭素の分解過程に影響を与えると考えられ、生物ポンプによる炭素の輸送効率を考える上で重要な意義を持つ。また、有効密度の変動は表層部の海水に含まれている含水率の高いゲル状の有機物の分布と連動しており、これらのゲル状有機物が高濃度で懸濁している海域では有効密度が低下する傾向が見られた。この傾向は前年度に疑似現場実験で得られた傾向と一致しており、生物ポンプの機能がこれらゲル状有機物自体とそれを生成する生物群集の動態により強く影響を受けている機構が明らかになった。
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[Journal Article] Emerging concepts on microbial processes in the bathypelagic ocean -ecology, biogeochemistry, and genomics2010
Author(s)
Nagata T, Tamburini C, Aristegui J, Baltar F, Bochdansky AB, Fonda-Umani S, Fukuda H, Gogou A, Hansell DA, Hansman RL, Herndl GJ, Panagiotopoulos C, Reinthaler T.Sohrin R, Verdugo P, Yamada N, Yamashita Y, Yokokawa T, Bartlett DH
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Journal Title
Deep-Sea Research II
Volume: 57
Pages: 1519-1536
Peer Reviewed
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