2009 Fiscal Year Annual Research Report
コロイド系のガラス転移と非線形レオロジー
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
21015001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮崎 州正 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (40449913)
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Keywords | 化学物理 / 統計力学 / 物性基礎論 / ガラス転移 / 臨界現象 / モード結合理論 / 動的相関長 |
Research Abstract |
(1)コロイド系ガラスのフラジリティ:コロイド分散系は、密度や相互作用を調節することが容易であることから、ガラス転移研究の格好のモデルシステムである。我々は、コロイドガラスの相互作用依存性について、実験と理論解析により研究を行った。実験においては、硬さを容易に調節できるハイドロゲルを用いて、緩和時間の温度依存性を系統的に測定し、いわゆるフラジリティの強い相互作用依存性を見出した。これはフラジリティの起源の理解に一石を投じるものである。また、この実験結果を説明するべく、様々な相互作用に対して、モード結合理論とシミュレーションによる解析を試みた。特に、単純な冪乗関数で与えられるソフトポテンシャル、およびガウス型のポテンシャルの二種類の相互作用に注目し、様々なパラメータに対するダイナミクスの依存性を詳細に調べた。モード結合理論の結果は、測定されたフラジリティを再現することはできないものの、転移点の高次特異点や、粒子間のオーバーラップが非常に大きい密度領域におけるリエントラント転移など、想像を超えた多様性を示唆している。シミュレーションの結果は、その結果を支持しているように思われる。(2)高次元のガラス転移:ガラス転移が臨界現象であれば、高次元で平均場予想に近づくことが予想される。一方、モード結合理論はガラス転移の平均場理論と呼ばれている。我々は、シミュレーションと理論解析により、4次元の剛体球系のガラス転移を詳細に検討した。その結果、4次元では、今まで調べられたどのガラス系よりも、モード結合理論との整合性が良いこと、動的不均一性と呼ばれる熱揺らぎの効果が小さくなることを見出した。
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