2009 Fiscal Year Annual Research Report
輸送分子モーターを連結したシステムの一分子観察
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
21015006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富重 道雄 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (50361530)
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Keywords | 分子モーター / 生物物理 / 一分子計測(SMD) / 分子機械 |
Research Abstract |
分子モータータンパク質キネシンが多分子で輸送を行うときの分子間協調性の仕組みを調べるために、2分子のキネシンを連結させた複合体を人工的に作製し、これを用いて2分子間の協調性をしらべた。まず、免疫抑制剤であるラバマイシンによって誘導される架橋反応を利用することによって、2つのキネシン分子を特異的にクロスリンクした「2分子キネシン」を作成した。それぞれの分子をあらかじめ異なる色素で蛍光標識して、全反射蛍光顕微鏡による1分子観察法を用いて同時観察したところ、およそ10%程度の分子がクロスリンクされていることを確認した。これら2分子キネシンは1分子キネシンとほぼ同じ運動速度を示したが、微小管に結合してから離れるまでの移動距離は1.5倍程度上昇した。次に、遺伝子組み換えを用いてキネシンの単頭を双頭キネシンに直接連結させた変異体を作製し、その運動を1分子レベルで観察した。双頭キネシンに1つの単頭をつなげたキネシンは、双頭キネシンに比べて微小管上に停止する分子の割合が上昇し、また運動を示す分子の運動速度は低下した。それに対して、双頭に単頭を2つつなげたキネシンは、1つの場合よりも運動している分子の割合が低下したものの、運動している分子が連続的に移動した距離は双頭キネシンの2倍に上昇した。これらの結果は、架橋された2分子の間では微小管からの解離を抑える効果が生まれて、複合体として長距離輸送を行うことが可能になると言うことを示唆するものである。
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Research Products
(3 results)